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2018年度の日本訪問

来年度の日本訪問を考えているが、今回は色々な理由でこの1月頃か春先になりそうである。冬の北海道も良いとは思うが、札幌の雪まつりの頃は思った通りホテルがいっぱいである。例のJapan Rail Passは取得方法が複雑になったので、もう一度調べる必要がある。
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社会支出

日本では社会保障額あるいは(OECDによるGDP比の公的社会支出率)がよく話題になる。特にマスコミにおいて全体の額あるいはGDP比の割合のみで、この構成および実質の数字はほとんどの話題にならない。OECD統計から各分野ごとの数字を上げてみた。

スクリーンショット

これによると、2013年度のGDP比の公的社会支出は、スウェーデン27.6%、日本23%である。これを見ても分かるように、日本の高齢(年金)および保健医療はOECD平均よりも大きく、公的社会支出率が日本よりも大きいスウェーデンよりも大きい(「高齢」はOECD加盟国で7番目、「保健」は6番目で一番大きいというわけではない)。一方では、厚生労働省統計において福祉その他と名付けられているその他の項目は「遺族」を除いて、OECD平均よりも少ない。たとえば日本の障害などは数字自体は大きくないが、OECD平均の半分、住宅、労働市場では半分以下である(家族政策分野では62%)。日本の社会保障議論においては、「高齢者に手厚い社会保障」と良くいわれるが、どこが高齢者に手厚いのか不明である。日本の高齢化率を考えれば、特に大きい数字ではない。しかし貧困率などから見ると特に手厚いとは言えない。たとえば日本のいわゆる貧困率は16.1%(OECD加盟国で7番目に高い)であるが、65歳以上の高齢者を見ると19%(OECD加盟国で9番目に高い)になる。

また興味があるのは社会支出が現金か、現物かと言うことである。スウェーデンと日本におけるGDP比での現金給付はほぼ同じであるが、現物給付(社会サービス)の方が現金給付よりも大きい(現物給付の割合が50%を越しているのは、チリ、イギリス、アイスランド、韓国、スウェーデン、アメリカで、各国の制度の違いによる)

またもう一つの違いは現金給付の位置づけである。スウェーデンでは生活保護を除いて病気による欠勤、失業手当などの収入に比例した給付は課税されるのが普通である。このため、公的支出に課税分が含まれている。また給付ではなく、税金からの控除という形を取る国もあり、その国際比較には注意を要する。

たとえばスウェーデンの公的社会支出はGDP比で27.4%であるが、課税分などを考慮した純公的社会支出率は22.9%になる。なお日本はそれぞれ23.1%、22.1%である。一般的には高福祉国と呼ばれる国ほど、課税される給付は多い(課税される割合が高いのはデンマーク、フィンランドと続き、スウェーデン4.5ポイント、日本0.9ポイントで、課税される給付が1ポイント以下の国はOECD諸国の中でわずか6ヶ国である。)。

政府が使う三分法(医療、年金、福祉その他)は誤解を生んでいるのではなかろうか。厚生労働省および国立社会保障・人口問題研究所などの分析ではこれらの機能分析が使われているが、他の国との比較は行われていない。OECD統計はかなり前から公表され、日本の社会保障の特徴は「福祉その他」によく現れているにもかかわらず、何が他の国との違いかがほとんど伝えられていない。何か政策的意図があるとは思わないが、結果的に「福祉その他」の内容が軽視されたという意味で、関係部署の責任は重いであろう。

資料)https://data.oecd.org/socialexp/social-spending.htm

春の経済政策法案

 スウェーデンでは秋に来年度予算案、春に経済政策法案兼補正予算案が発表される。特に春の経済政策法案は経済政策の方向性を見る上で非常に重要である。これにはもう一つ重要な報告書が含まれている。所得などの再分配分析書である。この春に公表された再分配分析書に目を通してみた。

 スウェーデンでもジニ係数は増えているが、人口変化によるジニ係数の影響が載っていた。結論から言うと、単身世帯の増加の影響が大きい。ジニ係数増加のおよそ15%が世帯構造の変化による。高齢者の増加は10%の説明要因であるが、高齢者の増加は全体のジニ係数の増加を軽減している(年金制度の結果)。
 外国生まれの住民の増加は就労率が低いおよび失業率が相対的に高いため、ジニ係数変化の5%を説明している(スウェーデンでは統計上、外国籍ではなく外国生まれが使われる)。なお移民者の労働移民から難民への変化自体は、この分析に含まれていない。この結果が正しければ、政策の方向性というものがある程度見えてくる。

借家人協会

 今住んでいるのは市の住宅公社のアパートであるが、今日、来年度の家賃値上げの連絡があった。平均0.5%の値上げである。スウェーデンでは賃貸住宅が市営あるいは民営にかかわらず、住宅会社はスウェーデン借家人協会と交渉するのが一般的である。
 スウェーデン借家人協会は全国で53万人の会員を持っているNPOであるが、借家人協会としてはほぼ唯一の組織で、1915年に設立されている。もちろんすべての借家人がこの協会の会員ではないが、住宅会社はこの協会と賃貸交渉をするのが普通である。
 
 家賃の中にスウェーデン借家人協会に支払われる交渉費用(2011年1世帯当たり144クローナ)が含まれている(もちろん個人交渉が行われる場合は、その費用は支払われない。)。2016年には、150万件の賃貸料が交渉、決定された。なお高齢者ケアにおける「特別な住居」も住宅なので、その家賃は借家人協会と交渉する。このため、法外な家賃は取れない仕組みになっている。もし家賃などに不満足であれば、市の賃貸委員会にその裁定を申し出る。

投資貯蓄口座

 以前、年金貯蓄と呼ばれる貯蓄制度があり、その貯蓄額は年間一定額まで控除できた。しかしこの制度は2016年から一部の特例を除き廃止された。その理由を調べてみた。政府案によると、その理由はまず控除によって税収入が減ることで、第二に一部の貯蓄形態のみに控除を認めることは資本の効率的な運用を阻害することである。労働組合、銀行を含む多くの関係団体が廃止に賛成した。
 この結果、現在では貯蓄形態を問わない投資貯蓄口座が認められている。この投資貯蓄口座は口座所有額が定まった計算によって毎年課税されるが、現金化する場合には課税はされない(なお一般の株の売買による利益の課税率は30%で、マンションの売買による利益も30%の課税である)。
 もう一つの利点は、投資貯蓄口座に現金、株、ファウンドなどを自由に組み合わすことが出来、売買してもその利益計算を自分でする必要がないことである。銀行などがその計算をして、本人と国税庁に送る。投資貯蓄口座の短所は、現金だけとか運用利益が少ない場合、課税額が運用利益を上回る可能性があることである。このため、現金や債券などの運用利益が少ない貯蓄形態は投資貯蓄口座に適していない。
 現金などは銀行の預金口座を使うのが一般的であるが、銀行の多くは利子がほぼゼロに近い。このためバケーションやマンション購入などのために貯蓄する場合は、もう少し利子の大きい預金口座を使うか、上記の投資貯蓄口座を使うのが一般的である。同時に考慮すべきは預金補償があるかないかである(もし銀行が破綻すれば、政府が一定額まで預金額を補償する)。

高齢者ケアにおける費用負担

高齢者・障害者ケアにおける自己負担は、社会サービス法によって各市が決定できるものとされている。この場合第1に実費を越えてはならないこと。第2にすべての利用料を支払った後、生活費が残らなければならないこと。第3に夫婦の一人が特別な住居に入居した場合、在宅に住んでいる配偶者の生活が経済的に悪化しないように市は保障しなければならない。

− 介護費用、デイケア費用、市の訪問看護費用は、1772クローナ(2016年)を越えてはならない。
− 賃貸法が適用されない住居の場合、その費用は一月当たり1846クローナを越えてはならない。
− 介護費用、デイケア費用、市の訪問看護費用、賃貸法が適用されない住居の費用を徴収するためには、最低額(minimibeloppet)が残らなければならない。単身者の最低額は5001クローナ、同居している夫婦あるいは共生の場合は一人あたり4225クローナである。これに住居費を加えた額が最低保証額(förbehållsbeloppet)になる。
− 法律による最高額、最低保証額の規定は守らなければならないが、この範囲内で市は費用計算を決定できる。たとえば2013年に行われた調査によると、在宅における介護費用を時間単位で決めていたのは市の50%になる。また時間ではなくレベルごとに費用を決めていたのは32%、レベルと収入によるのは8%である。
− 高齢者ケア全体では個人負担の割合は平均でおよそ3.8%である(ホームヘルプは5.7%、特別な住居における介護などは3%。ただし特別な住居は住居なので、この計算においては家賃は含まれていない)。

費用計算の根拠となる収入の定義は1年間の見なし収入とし、高齢者のための住宅手当も収入に含まれる。財産は費用に影響しない。夫婦の場合、両者の収入総額を2で割ったものを個人の収入と見なす。収入の定義は、原則的に年金庁の高齢者に対する住宅手当と同じ計算方法を使用する。費用決定は、行政裁判を通じて不服申請ができる。

なお「特別な住居」における食費は各市が決定し、家賃は住宅会社(普通は市の住宅会社)が決定する(なお市の住宅は貧困対策ではないので、特に家賃が安いわけではない)。

この文章は「医療福祉研究No26(2017年号)」(医療福祉問題研究会)に載せた「スウェーデンの社会保障における最低保障」という記事から引用しました。一部追加あり。
プロフィール

Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

スウェーデンの社会政策などを日本に紹介する仕事をしています。
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