FC2ブログ

スウェーデン人はどれくらい税金を払っているか。

 スウェーデン人はどれくらい税金を払っているのであろうか。まずスウェーデンは世帯課税ではなく個人課税である。普通の所得者層が支払うのは地方自治体(県と市)に対する地方所得税(平均は32.12%)のみである(他にスウェーデン教会税あるいは埋葬税があるが略する)。社会保険料は年金の本人負担分(収入の7%)を除いて雇用主が負担する。スウェーデンは相対的に控除の種類が少ないが、それでも基礎控除があったりして税額の計算は複雑である。
 源泉徴収額は日本と同じように雇用主が前もって差し引く額で、これには年金の本人負担額も含まれる。遅くとも12月には前年度の所得が確定され、源泉徴収額との差額が返還される(場合によっては支払わなければならない場合もある)。なおスウェーデンでは通勤費は本人負担で、年間1万1千クローナを越す場合のみ差額を控除できる。またローンの利子支払い分は30%控除できる(住宅ローンなどの利子支払いは一番普遍的な控除である)。

別表は、スウェーデン人がどれくらい税金などを支払っているかの表である。20歳から64歳に限定すると平均して所得の28%を支払っている。

 間接税として大きいのは消費税であるが、この計算はさらに複雑である。所得税などは個人課税であるが、消費税は名前のごとく消費に対する税である。消費税額を計算するためには世帯の可処分所得の計算が必要になるが、世帯によって給付の有無および消費/貯蓄が異なる。また消費税は原則として25%であるが食品などは12%である(医療や教育などの対象外は消費税がゼロである)。

 たとえば子供のいる世帯の平均出費額は年間40万7000クローナで、夫は月給3万クローナ、妻は月給2万クローナを得ていると仮定する。二人の可処分所得はあわせて45万6000クローナである。ここから40万7000クローナの出費を行っていると仮定する。出費の中に占める消費税はおよそ5万クローナ、12,3%になる。所得税も含むと、世帯の税率は32,4%(=(((4484+7554)x12)+50000)/(240000+360000))になる。32(地方自治体の平均所得税率)+25(標準消費税率)=57%にはならない。なお保守政権によって減税される前の源泉徴収額は今よりも数ポイント大きかったことを指摘しておく。

2018年10月21日追加編集

キャシュレス社会と電子認証




 スウェーデンはキャシュレス社会だという記事は増えているが、この問題と個人認証の問題は大きく関連している。キャシュレスの例としてカードの使用が一般的で、次がSwishである。まずカードを使用する場合、暗証番号での認証あるいは身分証明書での認証が必要である。Swishはスウェーデンの主要銀行が共同開発したスマートフォン用の決済アプリで、Mobilt BankIDを使用することにより自分の銀行口座から相手口座への送金が出来る。一般的にはカードが使用できない場合などに使うことが多く、私自身は使ったことがない。カードの手数料を支払いたくない小規模の店舗などもSwishを使っているようである。
 電子認証方式として開発されたのがBankIDで、2018年現在650万人が利用している。BankIDにもいくつかの方式があり、カードを使った電子認証とともに行政や銀行などとのコンタクトに使われる。この中で一番普及しているのは携帯電話を使った認証システムであるMobilt BankIDである。18歳以上の住民の73%、携帯電話を持っている住民の88%がMobilt BankIDを使っている。なお皮膚の下に埋め込む生体認証が日本で注目されているが、その使用はまだ制限的である(一般的な身分証明として機能しない)。

総務省の「統計から見た我が国の高齢者」

 総務省の「統計から見た我が国の高齢者」が発表されたので、ダウンロードしてみた。特に「国際比較でみる高齢者」に書かれているスウェーデンの数字を見た。なぜかスウェーデンの数字が合わないのである。たとえばスウェーデンの人口は2018年7月現在998万人であると書かれている。そしてこれは国連のWorld Population Prospectsからの引用であるらしい。World Population Prospectsには5年ごとの数字は出ているが、2018年の数字は出ていない。
 スウェーデンは毎年12月31日現在の人口が人口統計に使われるが、毎月の人口推計は統計庁のホームページに出ている。まず2017年12月では1012万人で、高齢化率は19.82%である。総務省の報告書には2018年7月の人口が998万人、高齢化率20.1%と載っている。しかしスウェーデン統計庁の推測では2018年7月の人口は1018万人である。一様念のためにWorld Population Prospectsにおけるスウェーデンの総人口数と統計庁の数字を比べてみた。統計庁の公式の数字と合わないのである。1950年以来、World Population Prospectsはスウェーデンの人口数を常に過小評価している。過去の数字でさえ、統計庁の数字と合っていないというのはWorld Population Prospectsの数字はいったい何なのだろうか。

2018年の選挙結果

 先日行われた選挙結果が確定、公表された。暫定開票とほとんど結果は変わらない。議席数は左派ブロック144、右派ブロック143、スウェーデン民主党62議席である。なお投票率はさらに増え、今回は87.18%まで増加した。
 今回の選挙においては排他的なスウェーデン民主党がどれだけ躍進するか、注目を浴びた。日本のマスコミでは第2党になるあるいは第1党になるとも書かれた。スウェーデン民主党は前回よりも躍進したが、第2党にも第1党にもならなかった。スウェーデンで指摘されているのは世論調査におけるスウェーデン民主党支持の不確定要素が大きいことである。世論調査会社間で大きな違いがある。
 
スクリーンショット 2018-09-16


 各政党の候補者は政党の投票数に応じて候補者リストの上から順に決まるが、1998年に個人投票が導入された。これにより候補者リストの順に関係なく選ばれることが出来る。条件は投票区における政党の得票数の最低5%を得なければならない。この個人投票によって選ばれた政治家の割合は政党によって大きな違いがある。中央党は議席の55%が個人投票によって選ばれているが、穏健党30%、社民党18%、スウェーデン民主党に至ってはわずか1.6%である。国会議員全体ではおよそ26%になり、これくらい多いとは私も知らなかった。キリスト教民主党の党首、現在の文化大臣(環境党)などが議員に選ばれたが、反対に現在の住宅大臣は議席を失った。
 選ばれた議員の名簿はすでに発表されているが、平均年齢はおよそ45歳である。今回は2006年の選挙に続いて2番目に男女平等に近づいた選挙であり、女性の割合は46.1%である。一番若い議員は22歳、一番高齢は85歳である。349人の議員のうち31%、108人が新しい議員である。なお組閣はまだ出来ていないので、議員の中から大臣が選ばれれば議員としての補充者が選ばれる。

 後は組閣であるが、国会が始まるまで状況の変化はないと思う。スウェーデンが他の国と異なるのは、国会において賛成を問うのではなく反対を問うことです。つまり国会議長の首相案に対して反対が過半数でなければ、首相案は決まる。なお国会議長の首相案は4回まで出すことが出来、すべてが成立しなければ臨時選挙になる。しかし歴史上、この理由で臨時選挙になったことはない。どの政党もスウェーデン民主党と協力あるいは組閣することは拒否しており、現在さんすくみ状態で、組閣まで時間がかかると思われる。

難民認定

日本のマスコミではスウェーデンの難民が話題になっているので、少し調べてみた。まず難民申請者数は年間に移民庁に難民申請をした人数である。そして決定件数は年間に難民申請の合否が判断された人数である。最後に難民認定率は難民として滞在が認められた人数を決定件数で割った数字で、その年の難民申請者数ではないことに注意する必要がある。なお2014年、申請から認定に至るまでの期間は142日であったが、2017年には496日まで延びている。

スクリーンショット 2018-09-04

                (移民庁統計より作成)

この表を見てみると、2015年にはおよそ16万人の難民申請があった。しかし2016年からは入国が厳格化され、申請数は3万人以下になった。これは2000年から2011年までの平均数に近い。2016年にはおよそ11万人分の申請が判断され、難民として認められたのはおよそ60%である(ダブリン条約関係を含む)。2017年になると難民申請者数はさらに減少したが、およそ6万6千人分の申請書の判断が行われた。認定率は41%に下がっている。難民者数を使うには、このような時系的変化を考慮する必要がある。

なお難民申請が認められなかった人はどうなるか、この記事を参照。

重要な社会問題

選挙を前にして、政治に対する記事が多くなっている。以下の表は国民がどの分野の問題に興味を持っているかを示している。2017年の調査によると国民が重要と思う分野は大きい順に以下のようになる(返答項目の数には制限がない)。調査はヨーテボリ大学SOM研究所で、1987年から毎年調査を行っている。

1.統合/移民 43%
2.医療 37%
3.教育 30%
4.司法/犯罪 17%
5.社会的問題 15%
6.高齢者問題 14%
7.環境/エネルギー 10%
8.労働市場 9%
9.住宅/建築 5%
10. 民主主義 5%

資料)Den nationella SOM-undersökningen 1987-2017, 2018

なお日刊紙DNの世論調査によると、各分野の以下の問題が指摘されている。
移民 移民が大きい、セグレゲーション、不十分な統合
医療 待機問題、職員不足
教育 職員不足
犯罪/司法 厳格化、職員増加
環境 気候変動



プロフィール

Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

スウェーデンの社会政策などを日本に紹介する仕事をしています。
詳しいプロフィール

カウンター
検索フォーム
カレンダー
09 | 2018/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
RSSリンクの表示
リンク