法律を超える判断

 菅直人首相は中部電力浜岡原発の全面停止要請を行った。不思議なのは監督官庁である保安院や原子力安全委員会には相談がなかった点である。保安院の西山英彦審議官は「法律を超える判断があった」と述べている。地震の起きる危険性にしても、急にわかったわけではない。関係官庁も含めて政府内でどの様な議論をして、浜岡原発の停止という結論に至ったのかがもう一つわからない。

分かれる評価

東日本大震災チャリティコンサート

 日本の大震災に対して、スウェーデン政府は早くから援助を申し出、国連などの派遣要請に従って専門家が日本に送られた。しかし民間部門では活発とは言い難い。小さなチャリティコンサートが教会で開かれたりはしているが、震災に対しての大きな動きにはなっていない。その原因の一つはマスコミの報道にある。初期においては震災の報道がマスコミにおいて行われたが、記者が日本からいなくなってからは、報道は他の通信社経由の原発事故関係に重点が移った。このため、スウェーデンでは震災の影響が十分報道されていないように思える。
 スウェーデン第2の都市であるヨーテボリでは大震災のためのコンサートなどが活発である。現地で活躍している日本人アーティスト、留学生、スウェーデン人などが中心となり、チャリティコンサートが行われるというニュースが入ってきた。著者は参加者の一部しか知らないが、森氏は昔から活躍しているベイシストで、数回ジャズの演奏を聴いたことがある。平沢氏はシンガーで、日本でも講演を行ったことがある。ヨーテボリには行けないが、成功を願う。

Från Göteborg till Japan

Göteborg for Japan

場当たり的な対応は人災である

 今回の大震災だけでなく福島第1原発の事故について、政府批判は多い。情報を隠しているとかの批判については、著者は判断する情報を持っていない。しかし政府の情報発信体制およびその判断体制はもう少し改善できないものかと思う。この体制の問題は人災である。たとえば枝野幸男官房長官や保安院および他の政府機関の発表をなぜ同じ場所で行えないのか。官房長官は技術的なことは一切説明できない。なぜ専門家も同席して、判断の背景なども説明しないのか。官房長官がいくら「安心してください」と言っても、その発言を信じる国民はどれだけいるのだろうか。
 福島第一原子力発電所から半径20キロ圏外の5市町村について、新たに「計画的避難区域」に設定して避難対象にすると発表した。この地域に住み続けると、放射線量の積算線量が1年間で20ミリ・シーベルトに達する可能性があり、健康被害を予防する措置らしい。機械的な20キロというのではなく、実際の積算線量で判断するという判断が遅すぎるのである。国際原子力機関(IAEA)からの避難の必要性の指摘に対して、その必要性はないと言っていたのは誰なのだろうか。
 東京電力だけでなく、保安院および原子力安全委員会に対する批判も大きい。安全委員会は信頼性が不十分だとして、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「スピーディ(SPEEDI)」は一度公開しただけである。チェルノブイリ原発事故に詳しい古川路明名古屋大名誉教授はデータ集めの体制が弱かったことが、判断を遅らせた可能性を指摘している。さらに京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「政府は安全安心を言いたいがため都合のいいデータだけ出して過小評価しようとした」と政府の姿勢を厳しく批判している。4月12日の東京新聞より。

Pray for Japan



がんばれ日本

安否確認

 東北地方には親戚などはいないが、知りあいは数人いる。メールで連絡してみたところ、全員が無事であった。
T氏、仙台市、家の中は乱雑なまま。大学校舎は立ち入り禁止で、研究室は本棚が倒れて戸が開かない状態。
I氏、仙台市、家は無事、大学は立ち入り禁止。
S氏、岩手県一関市、家族、友人、恩師、その他の知りあいはみんな無事。

T氏曰く。近くの特養は野戦病院状態です。沿岸部の話を聞くと「方丈記」を思い出します。

原発の監督

 日本政府は5日、経済産業省の外局である原子力安全・保安院を同省から切り離し、内閣府の原子力安全委員会と統合させて新たな規制機関を設置する方向で検討に入ったという記事が載っていた。妥当な結論のように思える。スウェーデンでは放射線安全庁がこの任務を負っていて、環境省の管轄下にある。どの省の管轄下に置くという議論を行う場合、スウェーデンはあまり参考にならない。日本でほとんど知られてないのは、スウェーデンの外庁が本省に対して独立しているということである。外庁は内閣の指示を受けるが、本省および担当大臣の指示は受けない。最近の流れとして、評価を行う機関と監督を行う機関が分離されることが多くなった。たとえば、教育の評価などは学校庁が行うが、学校などの監査/監督は学校監査庁が行う。両機関とも教育省の管轄下にある。同様にして、社会保険庁とは別に社会保険監査庁が監督機関として機能している。

東日本大震災の報道

 3月は仕事で忙しかったが、震災の状況は毎日インターネットでチェックしていた。日本とスウェーデンの新聞をチェックしていたが、次第にスウェーデンの新聞は読まなくなった。スウェーデンのマスコミの興味は震災の影響、被害よりも福島原子力発電所の損傷に重点が移った。もちろん原子力発電所の問題は重要であるが、その報道の仕方に問題がある。特にスウェーデンの特派員が日本からいなくなって、その報道は通信社および英語圏の新聞、テレビなどからの引用のみになった。問題は過剰反応、思惑的、非科学的な報道があることである。インターネットをチェックしていて、このような報道のあり方に疑問を投げかけているページが見つかった。
 仕事で訪問する職場の関係者からは、今回の大震災に対してお悔やみ及び励ましの言葉をもらうことが増えた。スウェーデン社会全体では「がんばれ日本」的な動きは見られないが、小規模のチャリティーコンサートなどは開かれているようである。なお夕刊紙エクスプレッセン紙は、特別付録「S.O.S Japan!」を発行して、売り上げの一部を赤十字に寄付したようである。

大震災に関する報道
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Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

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