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賃貸とマンション

2014年、スウェーデンには合わせて467万戸の住宅がある。このうち43%が一軒家で、集合住宅はおよそ51%である。集合住宅のうち、賃貸が30ポイント、いわゆる利用権型マンションが20ポイントである。なお利用権型マンションというのはマンションの所有は住宅組合であるが、入居者は住む権利を購入する。住宅組合に加入して定期的に預金をして、新築の場合入居権を購入するが、そうでない場合は市場で売買できる。反対に所有権型のマンションはほとんど普及していない。
また賃貸の集合住宅30%のうち、およそ15ポイントは住宅公益法人の所有、管理である(公益住宅法人は市が株のすべてを持つ株式会社であることが多い)。高齢者のための特別な住居もこの公益法人の所有、管理であることが多く、法律上は市の福祉局(場合によっては民間も)がこの公益法人から全館借りていることになる。そして一次契約は福祉局であるため、入居者は二次契約になる(特別な住居は市の認定によって入居する)。
法律によって公益住宅法人が利益を出すことは禁じられているが、公益住宅法人の対象は低所得者層ではない(利益は出せないが、もちろん赤字運営も出来ない)。すべての市民に質の良い住宅を提供することがその目的であり、スウェーデンの住宅政策上、大きな役割を担ってきた。

スクリーンショット 2015-11-30

住宅政策上、大きな役割を担っている団体がもう一つある。53万人(世帯)の会員を持つ借家人協会である。この団体はもちろん任意団体であるが、たとえば家賃の決定に大きな役割を持つ。公営住宅法人は借家人協会と家賃に関して交渉、決定する(借家人協会の会員だけではなく、公営住宅法人のすべての住居に適用される)。民間住宅の場合、居住者は家主と直接交渉が可能であり、居住者が借家人協会の会員である場合、借家人協会がその交渉を代行する。民間住宅会社が借家人協会と家賃などの交渉を行うと定めている場合もある。また市には家主と入居者のもめ事を調停する委員会がある。
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高齢者の住居問題改善案

スウェーデン政府は高齢者の住環境改善のため2014年委員会を設置し、委員会は改善案を10月5日、政府に提出した。

報告書は4つの分野における改善案を提案している。
1.既存の住宅のアクセス改善
集合住宅地におけるアクセスを改善する(段差の解消など)。
集合住宅におけるエレベーター設置に対して、費用の半分を補助する。
集合住宅におけるアクセス指標を開発する。

2.「安心住居」の増加
70歳以上の高齢者を対象とした「安心住居」への国庫補助を続ける(原則70歳以上であるが、場合によっては65-69歳でも可能)。新築の場合、2800クローナ/㎡、改築 2200クローナ/㎡。最高面積は60㎡、共有部分は20㎡/戸。新築の場合、トイレ、寝室はアクセスの強化。賃貸か共同組合型賃貸。最低10年間は「安心住居」として運営。
共同的住居をスタートするための補助を行う。
住宅供給法に市の福祉局の関与を明確化する。
(「安心住居」は、すでに2010-2014年に国庫補助の対象であった。この時に比べると、1.補助額が増額されている。2.対象面積が35㎡から60㎡に増やされた。3.利用権買い取り形式の住居は対象から外された)
(報告書では損益分析がされ、「安心住居」の建設により特別な住居の必要性が減るので、市の経費節減になると結論づけている。なお「安心住居」の建設費は住宅会社の負担なので、計算には含まれていないようである)

3.引っ越しをして住み続けることの改善
住宅補助の限度額を5000クローナから7300クローナまで上げる。
75歳以上の高齢者の引っ越し費用に対する補助
住宅供給法に市の責任を明確化。
75歳以上の高齢者に対するホームヘルプ決定の簡素化

4.住居におけるアクセスおよび一体感を持てる住居に関する研究強化
建築基準法におけるアクセスに関する条件見直しのため、2017年から2021年まで研究費として毎年2千万クローナ出費。
「安心住居」の意味、戦略および援助形態を継続的に発展させるため、住居形態としての「安心住居」の全体的評価。
機能障がい者のゴミ処理方法に関して研究。

このために5年間で26億クローナを予算化する。
これから関係者の意見を聞いて法案が提出され、うまくいけば2017年からの施行が計画されている。

まだ案ではあるが、ある程度の方向性が見られる。
1.出来るだけ長く在宅に住み続けられるという在宅主義は維持される。
2.在宅に住み続けられないほどの介護の必要性がある高齢者に対しては、特別な住居あるいは介護住居への引っ越しが選択され、入居は行政決定である(介護住居は普通、ユニットケアである)。
3.在宅に住むことに不安を持つ高齢者に対しては、(法律的には一般住居に含まれる)「安心住居」での入居が可能性として導入される。ただし「安心住居」への入居に行政は関与しない。また介護が必用な場合、ホームヘルプ/訪問看護を市に申請し、「安心住居」にはホームヘルプ、訪問看護は付いてはいない。
4.このように特別な住居と「安心住居」との違いは、第1に入居に行政決定が必要かどうか、第2に介護/看護が付いているかである。しかし「安心住居」はまだ数年の経験しかないので、将来的には内容が変わる可能性も存在する。

2015年10月8日追加、編集

ベビーシッター会社とデイママ

日本ではベビーシッター会社が話題になっているようである。スウェーデンでもベビーシッター会社は存在し、この10年間では増加している。これはベビーシッター、清掃などの家事援助に対して税控除がされ、その費用が安くなったためである。この分野では、以前からクロの就労が多かった。就労者は税金を支払わないで、雇用主は社会保険料を支払わない。これを白の仕事に代えるために考えられたのが、控除システムである。導入のころは利用者が税控除を申請するという形を取っていたが、最近は最初から税控除した額を支払うように変わった(正確にいえば会社に支払うのは税控除した額であるが、利用者は確定申告時においてその調整を行う)。

保育分野で働く場合は、警察発行の登録証明書を提出しなければならない。この登録証明書は本人について警察のデータベースに何が登録されているかの抜き書きであり、本人が申請して発行してもらう。雇用主はこの情報も参考にして雇用を決定する(性犯罪を犯していれば、事実上雇用は不可能である)。この証明書を要求するベビーシッター会社が多いようであるが、法律による証明書提出義務の適用範囲にベビーシッター会社も含まれるかどうかは法律文からは確認できなかった。
なおベビーシッター業務には子供をみているだけでなく、保育園への送り迎えも含まれる。またベビーシッターは利用者の家あるいはその近く(例えば公園あるいは保育園への送り迎え)で行われるもので、デイママと同じではない。

以下はある会社の紹介(英語)である。
http://www.nanny.nu/english/

なお日本で話題になった例はスウェーデンではベビーシッターとは呼ばれない。家庭保育園である。いわゆるデイママは家庭保育園と呼ばれていたが、2009年の法律によって教育ケアと呼ばれる。これは市の保育計画に含まれ、市営あるいは民営を問わず、場所、職員のチェックはすべて市が行う。

離婚と子供の養育

スウェーデン人の離婚については、このブログでも書いたことがある。興味があるのは子供の養育である。最近公表された報告書によると、離婚した親の子供のおよそ3分の1は母親および父親の所にほぼ同じ日数暮らしている。そして母親と暮らしているのが50%強(一時的に父親のところで暮らすも含む)、父親と暮らしているのが10%弱である。子供は平均して母親の元で月に21日、父親の元で9日過ごしている。
養育費を見てみると、離婚に際し自主的に子供の養育費に関し合意をしたのがほぼ半数である。そうでない場合、社会保険庁の養育費の規定額を使っている。なおこの規定額は現在子供一人1273クローナ/月である。

スウェーデンの公益住宅会社

スウェーデンの住宅政策において市の住宅会社は重要な意味を持っている。市は住宅供給計画を立てなければならない。もちろんすべての住宅を市が建設するというわけではないが、特に賃貸住宅に関しては市民に良い住宅を供給するという観点から多くの賃貸住宅を建設してきた。ほぼすべての市が住宅会社を持っていて、これはすべての賃貸住宅のほぼ半分にあたる。
多くの国では市などの行政が建設する住宅は貧困家庭などの一部の市民を対象としていることが多い。しかしスウェーデンではすべての市民を対象としている。他の国に比べて、これが一番異なっている点である。所得が低い世帯などを対象とした安い住宅を建設するのではなく、(市の住宅会社あるいは民間の住宅に住んでいるに関係なく)住宅政策における家賃補助として援助される(現在対象となっているのは、有子家庭、青少年、高齢者である)。

2001年には公益住宅法ができ、株式会社、経済的協会、財団法人などの利益が第一目標ではない住宅会社が対象とされた。利益を第一目標とはしていないが、配当あるいは利益などが禁止されていたわけではない。しかしその最高額は政府によって決定されていた(2001年、市の出資金の7,5%)。
しかしその後の変化、スウェーデンのEU加盟などによって、2009年新しい法案が決定された。まず新しい法案は市の住宅会社のみが対象である。これによると、市の住宅株式会社は商業的に運営され(配当も認められている)、地方自治法の「原価を超さない」という原則は適用されない(利益率などに関しては政府は関与しないが、住宅会社の方針/方向性に関しては市議会が決定する)。
スウェーデンのEU加盟によって、例えば市の住宅会社を優遇することはできなくなった(市の住宅会社が例えば貧困家族などを対象としているのであれば、優遇は可能のようである)。

介護住居などは市の住宅会社が運営していることが多く、住居の運営に関しては民間と違いはない。なお介護住居などは住居の運営と介護は分離しているのが普通で、住居は住宅会社が運営し、介護は市の福祉局あるいは介護会社が運営する。
問題がないわけではない。例えばストックホルム市の住宅会社は入居のためには家賃の3倍の収入(高齢者の場合は2倍)があることを条件にしている(他の住宅会社も同様の規定を設けている)。もちろん収入には生活保護あるいは社会保険などの給付も含んでいる。問題は何らかの理由によって、それだけの収入がない個人あるいは世帯である。他にも特に大都市における住宅難や家賃設定の自由化などが議論されている。

生活保護受給世帯の子供

生活保護受給世帯の子供は、他の子供よりも余暇活動に参加している割合が少ないことはよく知られている。このため政府は最低6ヶ月間生活保護を受給している世帯の子供(小学4年から中学3年)のために、1年間で最高3000クローナ余暇活動費を支給することを決定した。なおこれは2年間の試みである。
まもなく来年度の予算発表なのでその一部と見られるが、来年は総選挙の年である。

待機児童

スウェーデンでも保育園の待機児童は昔から大きな問題で、この40年間に徐々に強化されてきた。現在、申請から4ヶ月以内に保育の場を提供しなければならない。去年行われた調査によると申請者のおよそ2%が申請から4ヶ月以内に入園できなかった。
このため政府は再び強化のための委員会を設置、委員会案が公表された。4ヶ月以内に入園出来なかった場合、市は親保険と同じ給付額(所得のおよそ80%で、最低額はおよそ220クローナ/日)を親に支払う義務を課す案が提案された。親保険は国の担当であるが、これは児童が保育園に入園できなかったことにより親が就労できないという損失を被ったという考え方によるものである。子供が保育園を始められれば、親は就労が可能になり、これによって市の税収増加も可能で、待機児童の問題は市の計画性に問題があるという考えである。
なお新聞記事によれば、教育大臣はこの案に肯定的であり、この春には法案提出を目指したいということである。

なお教育法によって、次の二点が明記されている。
1.申請から4ヶ月以内に保育の場を与えなければならない。
2.児童が身体的、精神的あるいは他に理由による特別な理由がある場合、市は遅れることなく保育の場を提供しなければならない。
プロフィール

Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

スウェーデンの社会政策などを日本に紹介する仕事をしています。
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