許可保育所への株式会社参入

「許可保育所への株式会社参入を前倒しで認めるよう、全国の自治体に通知する方針を決めた」と新聞に載っている。内容はともかく、決定方法が理解できない。記事によると、2015年4月以降は株式会社を理由に拒めなくなるが、これを前倒しするというものだ。このようなことは法律改正で、変更するべきものではなかろうか。ただ単に厚労省の通達で変更できるレベルの問題なのだろうか。
記事には、「経営状況で保育の質が左右されることを懸念して」という理由付けが上げられている。しかしこれは非営利でも同じではなかろうか。重要なのは、保育園の質が保たれるようにどの様なチェック体制を作るかということで、スタート時に基準を満たしているかどうかという条件だけでは不十分である。
以前にも厚生労働省と当時の内閣府の委員会間で営利団体の参入に関して質疑応答が行われたが、厚労省も内閣府も机上論が多かったようにおぼえている。新政権になったからというのではないが、運営主体から運営内容(質)の保障に議論の焦点を移すべきである。

日本の出生数

厚生労働省は人口動態統計を発表した。2011年の出生数は105万698人で、1947年以降で最も少なかった。国立社会保障・人口問題研究所は少子化の傾向が続くとみていて、20年代前半には合計特殊出生率は1,33程度になり、その後は1,35前後で推移する見通しである。なおスウェーデンの合計特殊出生率は1,90(2011)で、10年後1,94まで増加して、2060年まで1,91が続くと推測されている。

同じ日、内閣府は子育て支援策に関する調査結果を公表した。子育ての不安要因としては、「経済的負担の増加」が71,7%とトップで、2位の「仕事と生活・育児の両立」(47,1%)、3位の「不安定な雇用・就業関係」(43,7%)を大きく引き離した。内閣府は「経済面での不安が少子化に拍車をかけている実態が浮き彫りになった」と分析している。

 このようなことはすでに20年前からわかっていたことではなかろうか。政府は何をしてきたのか。報告書を何冊発行しても、それを実行に移さなければ何の意味もない。

戦略のない「少子化対策」

今日の読売新聞によると、経済産業省が結婚相談所のCMなどの解禁を計画しているらしい。そしてこれが少子化対策なのだそうだ。もっと大事なことがないのだろうか。以前にもある県で、青年のふれあいの場だったか、数千万円の予算を使っているという報道があった。それによると、その結果結婚が増えたかどうかなどの調査もしていないし、「少子化対策になっていると信じています」という県職員の返事であった。内容、結果よりもジェスチャーなのであろう。

 この記事を書いてから、またおかしな記事があった。10日の朝日新聞に少子化対策を話し合う政務官会議プロジェクトチームの対策案が載っていた。「家族の日」の制定や3世代同居のための住宅建設促進などを提言しているらしい。対策案では、年1回の「家族の日」を定めることを提案、「結婚・出産の意義などの啓発を行う」としている。家族の日の存在意義はともかくとして、「結婚・出産の意義などの啓発を行う」ことが政府の仕事などであろうか。同様にして3世代同居のための住宅建設促進も政府が口を出す事であろうか。三世代同居あるいは二世代同居などのための住居は、住宅市場の問題であり、特定の住居形態に国が関与すべきことであろうか。なぜ三世代同居が核家族よりも良いのか。あくまでも目的はすべての人に住居を提供し、子供を育てやすい社会を作る事である。少子化対策にしろ家族政策にしろ、国あるいは行政が行うべきことと関与すべきでない事との区別がついてないのであろうか。つまり戦略がないのである。しかし三世代同居住居がなぜ少子化対策なんだ。

 いわゆる少子化対策の記事を見ていると、やはり各党の家族感が良く出ている。今日(5月22日)にも、目が点になる記事があった。結婚控除を自民党が設けるというのだ。あえて事実婚を進める必要もないが、だからといって同じように就労していても結婚している場合のみ控除を認めるというのはどういう理由なんだろう。そして、これがなぜ少子化対策になるのだろう。日本の将来が不安になるような政治家の思いつき案である。こんな案しか出ない社会(政治状況)だからこそ、出生が減るのではないだろうか。日本の合計特殊出生率は20年間減り続けているのであって、もう思いつきの対策では回復しないところまで来ている。

 少子化対策と家族政策を区別すべきだということは何回か書いているが、仮に児童手当を増額するにしても少子化対策か家族政策かで国民の受け取り方は異なるのではないだろうか。つまり少子化対策という一時的な政策か長期的な家族政策かということで、国民がどう評価するかが大事なのである。究極的には、国民がどれだけ子供を育てやすいかと思っているかということで、戦略のないばらまき行政は止めるべきである。

 政府の少子化社会対策会議(会長・小泉純一郎首相)は来月骨太を決定するが、肝心の財源論議は先送りされた。財源の裏付けも各省庁との調整も不十分なまま打ち出された数々の施策は費用対効果が疑問で、さらに問題だと思われるのは、「三位一体改革」で児童手当などの地方の負担が増えることである。国と地方自治体の役割分担を強化するために、国が決めることの財政的負担を国が負い、他方地方自治体は独自財源を強化するよう務めるべきである。何時までも他力本願は困る。(2006年5月2日記、9月6日追記)

子育て世帯割引制度


 今日の新聞によると、内閣府は少子化対策の一環として、子育て世帯が買い物の際に割引など特典が受けられる制度を始めるらしい。石川県がすでに「プレミアム・パスポート事業」を行っており、子どもが3人以上いる世帯が申請してパスポートを受け取り、協賛する飲食店やスーパーで提示すると割引などの特典が受けられる仕組みだ。内閣府はモデル事業の実績を踏まえ、統一の基準をつくるというのだ。何だか邪道のように思う。そもそもお店が自主的に子供があるお客などに何かサービスをするとかはあっても良いと思うが、なぜお客に差をつけることに、内閣府なり行政が関与するのか。これが行政のすることだろうか。差別行為に行政が関与しているとしか見えないし、消費行政上問題がないのであろうか。不必要な国家介入である。子供が多い家庭に対する援助であるならば、市場に対して中立的な援助にするべきである。(2006年8月29日記)

樹を見て森を見ない

民主党政権ができてまだ2ヶ月であり、半年ぐらいは混乱が続くと思う。しかし最近の新聞記事を読んでいて、民主党の公約は「樹を見て森を見ない」で国民に媚びを売る政策なのではないかと危惧するようになった。子供手当に所得制限を導入するか意見がまとまっていないらしい。先日は子供手当の地方自治体負担が話題になった。これらの現金給付においては所得制限の導入如何は根本的に重要な意味を持つ。社会保障に関するビジョンあるいは戦略なしに、目先の数字合わせの議論が先行しているような気がする。そもそも国民に発表する前に、根本的な原則に関しては党内にて統一しておくべきである。(2009年10月27日記)

 子供手当の給付が決まったが、上記に書いたように問題の多い制度である。問題点は子供手当が家族政策なのか少子化対策なのかの根本的な議論が不足していることである。もし家族対策だとしても子供手当の位置づけ、家族政策における優先順位、給付対象などのビジョンが必要とされる。保育園の待機問題などは昔から問題であり、あまり改善されていないようである。にもかかわらず、大臣が責任を取ったということも聞かない。もちろん子供手当のような普遍的な現金給付も重要であるが、待機問題の解消も同時に重要である。また外国における子供に対する給付の問題も指摘されているが、この問題はある程度予想されたことである。にもかかわらず十分審議しないで決定を急いだのは、無責任だと言われてもしようがないであろう。政治主導にしても厚生労働省の政策立案能力が問われているのである。多くの先進国では給付対象は原則として国内居住者のみであり、一部例外があるものの、厚生労働省がこれを知らないとは思えない(海外情勢報告書に書かれている)。(2010年4月25日追記)

複雑な子育て支援

 今日の毎日新聞によると、「子ども・子育て新システム検討会議」は子ども手当を国が決める最低額と市町村が自由に給付額を決められる額に分ける案を出したらしい。さらに財源も国や自治体が支出する補助金、事業主や国民が負担する保険料をひとまとめにするようである(保険料って何なのだろう)。政治責任も含めて何か複雑な制度のような気がする。問題は全体の財源が不足しているということだけではない。国と地方自治体の役割、それに準じた財源分担、子供手当と他の育児支援政策の役割、現金給付と現物給付の位置づけ、制度のビジョンがもう一つはっきりわからない。ビジョンもなく、全体像が考えられてない時に新システムという言葉を使うのはどうかと思う。

 良く話題にあげられるスウェーデンの場合は、生活保護を除く現金給付は国の管轄で全国一律、保育などは市の管轄で市の自由にまかされている。財源も別である。現物給付が市の自由といっても、全国的な権利保障を守るために3ヶ月以内の実施などが法律で規定されている。さらに労働環境法などの規定を受ける。地方自治を進めるのは結構なことであるが、最近の地方自治論は何か違和感を感じる。(2010年4月27日記、5月22日追記)

人口減少

 総務省によると、日本の総人口は前年より25万9000人減少し、1億2779万9000人になった。
総人口に占める0~14歳の年少人口の割合は13・1%で過去最低となる一方、65歳以上の老年人口の割合は23・3%と過去最高となるなど、少子高齢化の進行が改めて浮き彫りとなっていると、読売新聞は書いている。
 これは前から予測されていたことであり、すでに1990年頃に危機感を持って十分な対策を講じるべきだった。お金のばらまきで、出生数は増えない。合計特殊出生率が1,5を下回れば、回復は難しくなる。
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Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

スウェーデンの社会政策などを日本に紹介する仕事をしています。
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