女性の給与


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出典)SCB, Women and men in Sweden, 2016

青少年の失業率

青少年の失業率は政治的に常に話題になっている。しかし正確に理解がされているとは言えない。例えば青少年の失業率が25%であるということは、青少年の25%が失業しているということを意味していない。正確には、青少年労働力の25%が失業中である。つまり働いていないか求職もしていない学生は労働力に含まれない。2011年の15-24才の青少年の失業率はおよそ23%であった。これを15-24才の青少年全員に比較すれば、12%が失業中である。

スウェーデンの青少年(15-24才)の失業率は23%(2011年)であり、これはほぼEU平均(21%)に近い。ギリシャ、スペインでは44-46%の失業率であるが、ドイツ、ノルウェー、オーストリアは8-9%である。
青少年の失業率は国によって大きな違いがあり、特に15-19才の青少年および学生の間での違いが大きい。この違いのひとつの原因は見習いあるいは徒弟の取り扱いである。例えばドイツでは、15-24才の学生の4分の1は見習いあるいは徒弟制度によって就労として扱われ給与を得る。しかしスウェーデンでは見習い制度に参加している生徒はわずか0,5%である。この結果、学生の失業率はドイツ13%、スウェーデン32%と差が出てくる。
2番目の問題は学生のための奨学金制度である。例えばデンマークでは奨学金は12ヶ月支払われるが、スウェーデンでは9ヶ月である。このためスウェーデンでは夏の間働くことが前提で、もし求職中であれば失業者としてカウントされる。

このため、青少年の状況を見るには、NEET(Not in employment, education or training)の数字の方が適当であるという意見も多い。2011年、EU平均の割合は13%(15-24才)であるが、フランス12%、ドイツ8%、スウェーデン8%である。なおいちばんニートの割合が高いのはブルガリア22%、いちばん低いのはオランダ4%である。

2013年6月6日一部訂正、追加した。

最後にストは回避された。

地方自治体の連合である地方自治体連盟と自治労職員組合(Kummunal)は賃金および労働条件などの交渉を行っていた。もし交渉が決裂すれば、明日からストになる予定であったが、日曜日午後についに合意がなされた。
賃金に関しては3年間で最低1700クローナの増額(労働組合の要求は1740クローナ、自治体連盟案は6,8%)で、今回の協約は37ヶ月間有効である。言い換えれば、3年間労使関係は安定しているということである。
Kommunalはおよそ35万人の現場職員(准看護師、ヘルパーなど)を組織していて、相対的に給与が低い職業に力を入れるという観点から%ではなく実額での給与増額を要求した。

経済は好調

 現在、スウェーデンの経済は好調で、2010年は5,5%の経済成長が見込まれている。2010年の第4半期は7,7%である。とりわけ、家計消費、製造業が伸びている。新聞報道によれば、家計の可処分所得は3,4%増加した。
 今日公表された2009年所得統計によれば、個人の可処分所得は前年度比で2%増加した。1991年に比べれば、35%の増加である。しかし良いことずくめではない。所得の不平等度を表すジニ係数が増えている。また可処分所得が低い人および世帯も増えていることである。2007年および2008年に急増し、2009年は微増した。なお可処分所得が低いとは中央値の60%以下を指す。

スウェーデン経済をどう分析するか

最近、スウェーデン経済についていくつかの日本語記事を読む機会があった。高福祉高負担政策、積極的労働市場政策、連帯賃金政策などが話題に上がっているが、十分時代考察がされていないような気がする。スウェーデンも常に経済が順調だったわけではない。とりわけ、スウェーデンのような小国はグローバル化された世界にあっては、他の国の影響を受けやすい。このため、長期的および短期的な分析が必要とされる。

 いわゆるスウェーデンモデルという観点からは、90年代初頭の不況の前後では大きく状況が異なる。50年代から70年代中頃までがスウェーデンの黄金期で、いわゆるレーン・マイドナーモデルが有名である。これは連帯賃金政策と積極的労働市場政策の政策リンケージで、経済の効率化を進める一方で、積極的に労働(者)を成長分野るいは効率性の高い分野に移すというものである。

 しかし70年代後半期から80年代初頭にはオイルショックの影響を受けて、経済は不安定になった。しかし失業率は低く、積極的労働市場政策も相対的には機能していた。これが変わったのは90年代である。90年代初頭にはマイナス成長が3年間続き、公的財政の赤字も急増した。しかしその後、短期間の間に財政バランスを黒字に変え、実質成長率が4%を超える年もあった。にもかかわらず、十分な雇用増加に結びつかなかった。

 このため、最近10年間の積極的労働市場政策の可能性と限界が議論されるようになった。一方では、連帯賃金政策に対して産業界の一部には反対もあるが、全体的には大きな合意がある。またスウェーデン政府は以前から自由貿易主義を掲げ、保護主義には反対である。この結果として、繊維産業や造船のように中および長期的に見て将来性のない産業、分野に補助金などを与えて維持するという政策は現保守政権でも取られていない。かわりに知識産業などに重点が置かれるようになっている。またグローバル化の影響を受けて、スウェーデンの労働市場における雇用保障政策も大きく議論がされている。たとえば保守党や経済界などは雇用が十分増えないのは雇用保障が厳しすぎるからだと主張しているが、左派ブロックは雇用保障が原因ではないと言っている。

 大きな変更があったのは、2006年の保守政権後である。保守政権は従来の積極的労働市場政策に対して批判的で、たとえば労働市場プラグラムは2007年にはほぼ半減した。2010年には2006年度の参加者数を超すと見られるが、積極的労働市場政策に批判的であった保守政権が以前とあまり変わらないプログラムを取り始めているのは政治的には興味のある現象である。ただこれらのプログラムに問題が多いことも事実で、最近では行政監査庁が批判を行った。同様にして失業保険の条件が厳しくなり給付額も減額および保険料が増額された。また保守政権は2007年から数回にわたり、就労所得減税を行った。これは就労所得がある人のみが対象で、失業保険給付その他の給付で生活している人は含まれない。保守政権のこれらの政策は就労意欲などを増やすことを目的としていると言われるが、その理論および政策に対して疑問も多い(同じような議論は90年代に生活保護について行われた記憶がある。経済学では給付を減らすなどの政策による労働者の行動変化が前提とされることがあるが、これは十分証明されておらず、また部分的な証明があっても状況および制度が異なるイギリス、アメリカの例であることが多い。このためこれらの仮定に基づいた政策がどこまでスウェーデンにおいても有効かは疑問である)。

 スウェーデン経済が分析される時、公務員の割合の高さが良く話題に上がる。先日読んだ日本の新聞で、ある有名な経済評論家は公務員が多いことを「歪んでいる」と表現していた。「歪んでいる」かの判断はともかくとして、この評論家はあまりその内容を知っているようではなかった。スウェーデンの公務員が多いのは、教育、医療、福祉などが主に公的に運営されているからであり、60年代から70年代にかけて急増した。その後、90年代には減少、この10年間は大きな変化はない。(2009年9月21日記、2010年12月26日追記)


看護師のスト

 給与改善を求めて、看護師(一般看護師、レントゲン看護師、助産婦など)のストが4月21日12時から始まった。13年ぶりのストである。看護師の90%以上が地方自治体で働いているので、交渉相手は地方自治体連盟である。今日から9つの県と11の市において3400人がストに入った。例えばストックホルムにおいては、いくつかの病院の救急外来は交代で週に2日ほど閉鎖になる。救急外来がストになっても生命に危険のある救急患者の受け入れは例外なく行われるようで、救急でない患者の受け入れが制限され、救急でない手術が中止になる。福祉、医療関係のストは長引く傾向がある。理由の一つはストに対する住民の支持が圧倒的に高いからで、今回も住民の85%がストを支持している。5年前には地方自治労がストをした。保育園は閉まり、ゴミの収集が停止され、病院は診断待ちの患者が廊下まで溢れた。にもかかわらず、住民の支持は84%もあった。(2008年4月21日記)

 ストは5月5日から第2波に入り、新しく4300人がストに入った。あわせて7000人の看護師などがストに入っていることになる。さらに第3波が計画されていて、16日2750人がストに参加の予定である。特にこの日からは市の高齢者・障害者ケアなどに雇用されている看護師がストに入る。看護師の雇用状況はスウェーデンにおける給料だけでなく、他の北欧諸国における給料にも大きく影響される。前回ストが行われた1995年頃には、ノルウェーにおける看護師の給料の方が高く、ノルウェーで働く看護師が増えた。その後、2000年頃になるとスウェーデンの給料が改善され、ノルウェーで働いていた看護師が戻ってきたらしい。しかし最近はふたたびノルウェーおよびデンマークで働く看護師が増えてきているらしい。去年には同様のことがフィンランドで起こり、給料が増えなければスウェーデンで働くと言ってストが行われた。

 5月28日、看護師組合と地方自治体連盟は合意に達し、6週間近くのストは終わった。3年間の労使協約が結ばれ、看護師の最低賃金は21100クローナ、最初の年の賃上げは4%、2年目3%、3年目2%などが決められた。なお新聞記事によると、スト1日あたり雇用者側は1100万クローナ分の出費が浮き、組合側は1日あたり600万クローナの出費が増えたということである。看護師組合執行部は今回のストにあまり乗り気ではなかったが、組合員の不満の増加および他の北欧諸国における看護師のストが続いたため、ストに賛成せざるを得なかったようである。結果については看護師のあいだで不満が大きく、新聞記事によると組合を脱会すると言っている人もいるようである。(2008年5月30日追記)


 

スウェーデンに郵便局はない?

ある日本のホームページを読んでいたら、スウェーデンに は郵便局はないので不便になったと書いてあった。誤解を与える書き方である。国営の郵貯銀行は民営化されて、1990年にNordbankenに吸収され た。さらに1993年には郵便業務は自由化され、以前の郵便局は1994年に国営の郵便会社として改変された。郵便業務は自由化されたが、法律によって国 営の郵便会社は全国的な普通郵便の集配サービスの責務を負っている。2000年代には、窓口業務は大きな変化を遂げた。現金業務取り扱いのために Svensk kassaserviceという別会社が郵便会社の子会社として作られ、いくつかの銀行の代理業務を含めた現金取り扱いが行われた。なおこの会社は 2008年末に解散し、窓口業務はNordeaという銀行に吸収される。

 郵便の窓口業務も変化した。大口顧客に対しては別のセンターが 設けられ、民間会社と競争している。一般の郵便および小包に関しては、地域のガソリンスタンドやスーパーなどと契約が結ばれ、郵便物取り扱い業務を行って いる。サービスが悪くなったという話しを聞くことがあるが、一般論としては何とも言えない。私が住んでいる地域では店の開店時間が長いので、反対に便利に なり特に不満はない(旅行者はどこで郵便を出せるかがわからないので、不便に感じることは考えられる)。

 インターネットの発達による支 払い形態の変化が現金業務の変化をもたらした要因であり、スウェーデンで一般的な郵便為替による支払い業務は上記のNordeaに吸収されている。現在で は、これらの支払いは(自動引き落としでなければ)自分の銀行口座から引き落とす手続きをインターネットで行う。高齢者などのようにパソコンを持っていな ければ、自分の口座から引き落とすために郵便為替にサインをして銀行の郵便為替取り扱い事務所に送るだけである。(2008年3月1日記、3月11日追 記)
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Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
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