2017年度の年金

2017年度の年金は平均して260クローナ増額されるが、その大きさは各グループによって異なる。

1.所得年金のベースとなるいわゆる所得係数は2,8%、保障年金のベースとなる物価基礎額は1,1%の増額である。
2.保障年金も住宅手当ももらっていない高齢者の年金額は前年度に比べておよそ2,2%の増額。
3.住宅手当をもらっている年金者は1,4%の増額(夫婦は0,8%)。
4.住宅手当はもらっていないが、保障年金をもらっている年金者は1,1-1,9%の増額。2017年度の保障年金は単身者の場合7952クローナ、夫婦7093クローナ(一人当たり)である。なお保障年金はすべての人に給付されるのではなく、所得年金の限度額までである。

スウェーデンの年金制度参照。

年金項目を設けました

別に年金項目を設けました。

年金額

毎年所得統計が発表されていて、年金収入も含まれている。所得統計の年金収入は詳細すぎるので、他の統計から引用した。2012年の65歳以上の年金収入は女性で15万1000クローナ、男性で22万9000クローナである。なおこれは課税前の収入で、世帯ベースではなく個人ベースである。男女間で比べてみると、女性の年金収入は男性のおよそ3分の2である。これは女性がパートで働いている割合が高いこと、育児などで労働力に含まれない期間があることなどによるものである。

これらの年金収入は3種類に分けられている。まず公的年金、2番目は雇用主が保険料を支払う職域年金、3番目は個人の私的年金である。女性の方が男性よりも年金収入総額に占める公的年金の割合が高い。女性の場合75%、男性の場合68%で、これは男性の方が職域年金の占める割合が女性よりも高いためである(ほぼ倍である)。これらの構造的要因は最低保障のための保障年金の受給者にも現れている。女性の61%が保障年金を受給しているが、男性ではわずか15%である。
なお高齢者にとって年金以外に住居費補助も重要であるが、これに関しては別の機会に書きたい。

スクリーンショット 2016-02-05

積立年金の見直し

年末は色々と忙しい。今日は公的年金の一部である積立年金の積み立て先を見直した。自営業なので積立額は多くはないが、見直しすることにした。公的年金を管理している年金庁の自分の口座にアクセスする。認証にはいくつかの方法があるが、最近はMobilt BankIDという方法が普及していて、一番便利である。たとえば年金庁の場合、まず認証方法を選び、個人番号を入れる。そして携帯電話のMobilt BankIDというappを立ち上げ、個人のapp用の認証番号を入れる。そうすれば認証機能が使用可能になる。
年金庁の個人ページから積立年金のページを開き、興味のある投資種類、積み立て先を選び、積み立て先の運用実績を読む。最終的に2つあった積み立て先の一つを別のファンドに代えた。そして確認を行い、認証は再び携帯電話のMobilt BankIDを使う。今までであれば、カードあるいは銀行ごとに認証の方法が異なったが、このappができてからさらに便利になった(今までは公的機関へのアクセスのために電子認証は使っていなかった)。

年金額を減額?

日本でも知られているようにスウェーデンの年金制度には年金制度の安定のために自動均衡システムが含まれている。その年の支出が収入よりも多くなれば自動的に支出が減額される(現在は3年の平均値)。
今年は所得年金が2.7%減額されるが、大きな話題にはなっていない。まず所得年金は2.7%の減額、保障年金は0.2%の減額されるが、減税も行われる。またスウェーデンの社会保障上、重要なのは高齢者の住宅手当である。ある制限金額内において、年金などの収入が減れば住宅手当が増額される。
この結果、月あたりの年金額が2万クローナ以内の場合実収入は最高90クローナ増額になる。一方、2万クローナ以上の場合最高200クローナ減額になる。

年金制度の問題

高齢者住居費補助制度

年金制度に含まれ、高齢者の生計に大きな役割を担っている制度に高齢者住居費補助制度がある。対象となる住居はすべての住居であって、賃貸住居に限定されない。給付額は、住居費(家賃)、本人の年間収入、本人の財産などに影響される。住居費の最高額は5000クローナである。

計算例
家賃4500クローナ、年間公的年金収入10万400クローナ、年間私的年金収入1万2500クローナ、単身の場合で、10万クローナを越す財産はないと仮定する。

最高額(4500x0.93+170)x12=52260
減額  (100400+12500x0.8-96565)x0.62=8578
96565クローナは保障年金額に相当し、毎年改定される。0.62は減額所得が基礎額以下の場合。

給付額(月) (52260-8578)/12=3640

収入があれば、家賃補助は減額されるが、収入によって減額幅が異なる。
1.公的年金、資本収入、一定額以上の財産などは100%収入にカウントされる。
2.私的年金などは80%収入にカウント。
3.就労収入は50%就労にカウント(就労意欲を高めるためだと思われる)

住宅政策として、スウェーデンのようにすべての国民に住居を保証すると同時に、所得が十分でない人のために住居費補助を行う国と、低所得者層向けの住居あるいは高齢者住居を建設する国(その他の住民のための住居は市場の役割)とがある。

年金制度の問題

スウェーデンの年金制度は一時期日本でも興味を持たれた。スウェーデンが抱えている問題は基本的には他の先進諸国と同じで、年金制度改革によってすべての問題が解決されたわけではない。現在、議論されているいくつかの問題がある。
1.積立年金
保険料18,5%のうち、2,5ポイントは積立年金に充てられる。所得年金は経済成長にリンクしているため、この不安定さを避けるために、積立年金を廃止して所得年金に統合するべきであるという意見がある。積立年金の運用見通しは賃金上昇率よりも高いため、積立年金の廃止は特に若い世代に大きな影響を及ぼす。現在、積立年金の将来が議論されているが、積立年金は廃止されないと思うが、保険料の割合は変更される可能性がある。
積立年金のもう一つの問題は運用機関による収益率が大きく異なることである。このために運用機関の運用条件が厳格化される可能性もあり、この結果、運用機関数が減ることも考えられる(運用機関数が多すぎるということは前から問題になっていた)。
2.自動均衡システム
新しい年金制度の特徴のひとつは政治家の決定を経ずに、年金収支が悪化すれば年金額の減額などを通じて自動的に制度の安定化が図られることである。これによって、今までに2回年金額が減額されている。この制度に反対する意見もあり、年金者団体や社民党の一部の政治家は廃止を唱えている。しかし自動均衡システム自体を廃止する意見は大きくはないが、その影響を緩和する方法が考えられている(例えば、一度に2%減額するのではなく、2年あるいは3年の間に2%減額する)。
3.退職年齢
スウェーデンでは正式な退職年齢は存在しない。まず年金は61才から受け取ることが出来、法律によって67才まで働く権利がある。一般的には65才が退職年齢だと思われることが多いが、その理由のひとつは労使協約により65才が支給年齢として使われていることである。労使間の協約には政府は直接関与しないが、三者会議においてこの問題が議論される予定である。
4.個人年金の移動
公的年金とは別に個人で年金をかけている人は多いが、個人年金や協約年金の移動の権利が以前から話題になっている。銀行や保険会社は顧客が他の運用機関に移ることを望まない。一方、運用機関をもっと自由に選べるようにするべきだという意見も多い。議論は続いているが、すぐに合意案が出るとは思えない。
5.年金支給年齢の引き上げ
平均余命が延びているのに、年金支給年齢が以前と変わらないのは社会経済上も問題だとして、支給年齢の引き上げおよび雇用延長に関して、最近政府報告書が発表された
プロフィール

Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

スウェーデンの社会政策などを日本に紹介する仕事をしています。
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