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認知症高齢者に対する強制措置の合法化

認知症高齢者が入居しているグループホームなどのユニットは、入居 者が不本意に外に出て怪我をしたりすることを防ぐために施錠されていていることが多い。社会庁によると、施錠することは違法であるが、開けるのは送らせる ことは違法ではないという解釈である。しかし法律面での規定がないため、政府に対して法律作成の要請が行われていた。2005年に政府は認知症高齢者に対 する強制/拘束処置についての報告書の作成を前司法オンブヅマンに依頼し、今日その報告書が公表された。強制/拘束処置は憲法および刑法とも関連があるた め、前司法オンブヅマン以上に最適の報告者はいない。500ページ強の報告書は刑法、憲法、人権などの関連において問題点が議論されている。強制/拘束処 置の合法性については長らく議論がされていて、今回一つの法律的結論が出た。必要な場合の強制/拘束処置を明確化することにより、それ以外の違法な処置を 減らすことが報告書の目的である。まだこれは報告書であり政府法案ではないが、反対意見もないと思われることから、レミスの後に法律案が提出されると思 う。なお対象は特別な住居に住んでいる認知症高齢者(部分的には在宅も含む)で、医療機関は含まない。政治家および職員の研修の必要性を考慮して、法律の 施行は2009年が提案されている。

 人を拘束あるいはその行動を規制するのは憲法違反あるいは人権違反であるが、認知症高齢者の場合、 どの様な条件であればそれが認められるかということである。報告書においては、在宅において社会からのサポート(行政や親族も含む)にもかかわらず、(悲 惨な生活によって)重大な傷害を得る危険性がある場合から、特別な住居(施設)におけるセンサーの使用など6つの例が挙げられている。特別な住居あるいは そのユニットも、県行政裁判所の決定によりドアを施錠することができる。また市の福祉局は調査の後、ベッド脇の柵、ベルト、センサー、アラームなどを使用 することが出来る。監視カメラの使用は居室外であっても認められていない。攻撃的な高齢者を一時的に他の部屋に移すことは認められるが、その部屋の鍵をか けることは認められない。興味があるのは、最終決定以外に一時的決定と避難的決定の可能性を作っていることである。最終的決定を行う以前に、その必要性が あれば、福祉委員会の委員長は強制措置の一時的決定を行うことが出来る。同様にして、緊急避難的にそれらの決定も行う可能性も残している(刑法において も、緊急避難的行為は認められている)。なおデンマークおよびノルウェーには、この分野の法律がすでにあり、今回の報告書はこれらの例を参考にしている。 (2006年12月18日記、30日追記)

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