社会保険制度

市の取り扱いである生活保護および失業保険組合の取り扱いである失業保険を除いて、ほぼすべての給付が社会保険庁によって取り扱われている。年金などは年金庁の取り扱いであるが、給付は社会保険庁から行われる。

1999年に社会保険法が改正され、2001年から施行された。これによると、社会保険とは児童手当などの租税から出費されているものも含む一方、他の国において社会保険に含まれる失業保険は含まれていない。言い換えるならば、スウェーデンの社会保険とは歳入が租税か保険料かを問わず、社会保険庁および年金庁によって取り扱われている給付をさす。さらに社会保険は居住にもとづく給付と就労にもとづく給付に分けられている。たとえば居住にもとづく給付は両親保険における最低保障、児童手当、アシスタント手当、住宅手当、保障年金などであり、全額税金からの給付である。他方、就労にもとづく給付は傷病手当、最低保障を越える両親保険給付、一時的両親給付、労働災害保険、近親者介護手当、所得年金などである。なお社会保険料は原則的に雇用主負担であり(年金の本人負担が一部あり)、税金と共に、国税庁によって徴収される。

スウェーデンでは、児童手当など税金からの給付も社会保険給付に含まれている。税金で出費されている児童手当がなぜ社会保険なのかという質問は、理論的にも実務的にもスウェーデンではあまり意味がない。現在の社会保険法が議論された時に、「社会保険の普遍的な定義が存在しないので、スウェーデンは実務的な定義を行う」という政府の意見であった。また年金制度以外の保険給付はすべて一般財政に含まれていることも、違いの一つである。

就労に基づく給付は課税対象で、給付の種類によって確定所得か見込み所得かが異なる。毎年12月初旬に国税庁は住民の前年度の所得を確定し、各行政機関はオンラインでこれらの情報の入手が可能である。このため、12月以降であれば前年度の所得を条件にする給付は支給可能である。見込み所得という概念はたとえば傷病給付および有子家庭のための住宅補助で使われているが、それぞれ内容が異なる。たとえば傷病給付には利子所得は含まれないが、住宅補助のための所得概念には含まれ、また前者は個人所得であるが、後者は世帯所得である。傷病給付のための見込み所得は社会保険庁に給付を申請するときに計算される。住宅補助も申請時に計算され、暫定的な住宅補助が支給されるが、1年後に前年度の所得が改定したときに住宅補助額が確定され、支給額との調整が行われる。

また社会保険給付は国の一般会計からの出費で、年金だけが特別会計になっている。これに関して、地方自治体の負担はない。このように社会保険からの現金給付は国、市の生活保護は市という風に、財源の責任分担は明快である。財源の分担が明快であるので、政治的責任もはっきりとしている。
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Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
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