監査の強化

90年代から社会政策面での(組織的および法律的)監査が強化されている。数年前には学校の監査を行う機関が学校庁とは別に設けられ、また社会保険監査庁も社会保険庁とは別に設けられた。監査に専従する機関が別に設けられるのは、内部組織では十分な監査が行えないということと、国と県行政庁との分担は非効率的であると考えられたからである(県行政庁は国の出先機関であるが、県令の指示を受ける)。
医療および福祉面では、数年前に県行政庁の福祉の監査が社会庁に移されて、社会庁の医療監査と統合された。そして今年6月から、医療・福祉監査庁(the Health and Social Care Inspectorate)として別組織として機能し始めた。これによって複数の組織ではなく、ひとつの全国組織になる。

2014/08/01追加
医療福祉監査庁は6つの地方事務所において職員650名が勤務している。このうち400名が監査官である。国の大きさを比べれば、いかに大きな組織であるかがわかる。


学校閉鎖

監督官庁が学校を閉鎖することは頻繁に起こるものではない。しかし今日、その決定が下された。閉鎖されるのは中学および高校を持つ全寮制の私立学校で、生徒数およそ170名、1896年の創立である。
この学校は年長生徒によるいじめが何回か話題になっていて、毎度改善策がとられたようである。しかし先週の週末にアイロンを使ったいじめによって年少生徒が火傷を負った。この事件はすぐに警察に通報され、月曜日には学校監査庁に連絡された。学校監査庁はこの火曜日に監査を行い、今日水曜日に「生徒の安全が保てない」という理由で学校閉鎖の決定を下した。学校は明日から6ヶ月間閉鎖され、生徒は実家に帰された。生徒の居住市の教育局が生徒の対応を決める。とにかく、これらのいじめは生徒の安全が問題であるだけに、監督官庁の行動も早い。6ヶ月後に、監査庁は再び調査して、学校の再開か閉校かを決定する(これは外庁である学校監査庁にゆだねられた権限で、この決定に対して本省は口を出すことはできない)。
なお28日の午後、学校の役員会は校長の解雇を決定し、後に新しい役員会が選ばれる予定である。

学校監査庁の決定に対して、生徒や父兄からは「集団的罰である」、「子供が学校を代えなければならないので影響が多きすぎる」などの批判もあり、父兄の一人は学校監査庁の決定を司法オンブズマンに訴えた。しかし新聞紙上で行われたインターネット投票では読者の83%が閉鎖を支持するなど、この学校に対する批判は大きい。なお学校監査庁は教育内容、いじめなどに関して学校の監査をする専門機関で、全国でおよそ400名の職員を持つ。

2013年9月7日追加
学校側は閉鎖決定の一時停止を行政裁判所に求め、9月6日裁判所はこれを認めた。その理由は、寮生活は学校法の監査対象であるか疑問というものである。なお学校監査庁は来週初めに上告するかどうか決定する。
行政法学者によると、学校を一時的にも閉鎖することは監督官庁の重大な決定であるが、下級行政裁判所がこの決定の一時停止を認めたことはユニークである。法的解釈に疑問があるのであれば、これは最高行政裁判所まで上訴される可能性があり、もし学校監査庁が敗訴すれば国は損害賠償を行わなければならない。
現時点においては、下級行政裁判所において閉鎖の一時停止が認められただけであり、次に閉鎖決定の適合性が問われることになる。そしてその決定によっては学校側か学校監査庁がさらに上訴することになる。

2013年10月2日追加
高等行政裁判所は第一行政裁判所と同じく、学校閉鎖は違法であると判断した。その理由は学生寮は学校監査庁の監査に含まれないという判断である。これに対して、与党である自由党の党首は裁判所がそう判断したのであれば、法律を改正すると意見表明した。

教育現場における労働環境改善

教育や介護の現場の労働環境は非常に重要で、スウェーデンでは主に労働環境庁が担当している。労働環境庁は2012年度400校の監査を終え、2000件の改善指示を出した。労働環境庁はこれをさらに強化すべく、2016年まですべての学校の30%に対して監査を行うプロジェクトを発表した。なおこの場合の労働環境とは物理的環境だけでなく心理的環境も含む。また監査は学校などの現場だけではなく、行政(市)も含む。なぜなら、環境改善は行政の決定を必要とすることが多いからである。

「地域密着型」と「地域包括ケアシステム」

日本のニュースを読んでいてわからない言葉がいくつかある。そのひとつは「地域密着型」という言葉で、そもそも一般的に言う福祉が地域をベースにしている以上「地域密着型」でない高齢者ケアとは何なのかと言うことが分からない。特養などは「地域密着型」と見なされてないようであるが、その理由が全然理解できない。必要なのは地域あるいは地方自治体がシステムとして機能しているかどうかである。

同様にして「地域包括ケアシステム」もわかりにくい言葉である。地域包括ケアシステムというのは、「高齢者が重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で最後まで暮らせるようにすること」だと思うが、「包括」という言葉が使われているように、これは病院/開業医、施設、在宅との連携システムであるはずである。よく施設対在宅という風に議論されるが、個室化、住居化のみが議論されて介護形態の議論がほとんどない。いわゆる施設の住環境および介護環境は改善の余地はあるが、施設あるいは介護住宅は将来も必要で、病院や施設などを考慮しない地域包括ケアシステムは意味がない。
最近読んだニュースで、地域包括ケアシステムにおけるサービス付き高齢者住居の役割について、厚生労働省代表が変なことを言っていた。これはリロケーションの議論にも関連するが、介護が重度になった場合の介護形態がほとんど考慮されていないことに驚いた。そもそもサービス付き高齢者住宅はどの様な高齢者を対象にした住居なのであろうか。住居化と介護形態の議論が不十分な気がする。個人レベルの話とシステムレベルの話の区別が必要である。

社会給付

スウェーデンは就労率80%を目指しているが、このために「Number of full-year persons receiving social assistance and benefits」の時系的変化が分析されている。それぞれの給付の変化のみを追っていては全体の変化がわからないからである。この統計には、市の生活保護、失業基金の失業保険給付、社会保険庁の傷病給付、早期退職給付および労働市場庁の労働市場プログラムの参加者統計が含まれている。なおこの統計の単位は総人数ではなくて、年間人数である。たとえば生活保護を半年、失業保険給付を半年受けていれば、それぞれが0,5人分にあたる。
1990年からこの統計が取られているが、受給者が一番大きかったのは1994年の115万4千人で、これは20-64才人口の22,7%にあたる。その後、受給者数および割合は減少し、2012年現在受給者数80万人、人口比14,4%であり、これは1990年の割合とほぼ同じである。

社会給付
(統計庁資料より)

精霊流し


この季節の話題をひとつ。グレーブは「精霊流し」を1974年にリーリースし、さだまさしは第16回日本レコード大賞作詩賞を受賞した。



「精霊流し」は他の歌手によってもカバーされている。

石川さゆり



最近発見したのは、キャンディーズによるカバーで、1974年12月24日東京銀座中央会館での「白いコンサート」である。ファンのかけ声がうるさいが、ハーモニーがすばらしい。「白いコンサート」は公式には録音されておらず、Youtubeなどで聞けるのはすべてファンによる録音である(キャンディーズのコンサート記録はファンによる録音が多いが、これも貴重な記録である)。


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Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

スウェーデンの社会政策などを日本に紹介する仕事をしています。
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