スウェーデンの公益住宅会社

スウェーデンの住宅政策において市の住宅会社は重要な意味を持っている。市は住宅供給計画を立てなければならない。もちろんすべての住宅を市が建設するというわけではないが、特に賃貸住宅に関しては市民に良い住宅を供給するという観点から多くの賃貸住宅を建設してきた。ほぼすべての市が住宅会社を持っていて、これはすべての賃貸住宅のほぼ半分にあたる。
多くの国では市などの行政が建設する住宅は貧困家庭などの一部の市民を対象としていることが多い。しかしスウェーデンではすべての市民を対象としている。他の国に比べて、これが一番異なっている点である。所得が低い世帯などを対象とした安い住宅を建設するのではなく、(市の住宅会社あるいは民間の住宅に住んでいるに関係なく)住宅政策における家賃補助として援助される(現在対象となっているのは、有子家庭、青少年、高齢者である)。

2001年には公益住宅法ができ、株式会社、経済的協会、財団法人などの利益が第一目標ではない住宅会社が対象とされた。利益を第一目標とはしていないが、配当あるいは利益などが禁止されていたわけではない。しかしその最高額は政府によって決定されていた(2001年、市の出資金の7,5%)。
しかしその後の変化、スウェーデンのEU加盟などによって、2009年新しい法案が決定された。まず新しい法案は市の住宅会社のみが対象である。これによると、市の住宅株式会社は商業的に運営され(配当も認められている)、地方自治法の「原価を超さない」という原則は適用されない(利益率などに関しては政府は関与しないが、住宅会社の方針/方向性に関しては市議会が決定する)。
スウェーデンのEU加盟によって、例えば市の住宅会社を優遇することはできなくなった(市の住宅会社が例えば貧困家族などを対象としているのであれば、優遇は可能のようである)。

介護住居などは市の住宅会社が運営していることが多く、住居の運営に関しては民間と違いはない。なお介護住居などは住居の運営と介護は分離しているのが普通で、住居は住宅会社が運営し、介護は市の福祉局あるいは介護会社が運営する。
問題がないわけではない。例えばストックホルム市の住宅会社は入居のためには家賃の3倍の収入(高齢者の場合は2倍)があることを条件にしている(他の住宅会社も同様の規定を設けている)。もちろん収入には生活保護あるいは社会保険などの給付も含んでいる。問題は何らかの理由によって、それだけの収入がない個人あるいは世帯である。他にも特に大都市における住宅難や家賃設定の自由化などが議論されている。

「利益を目的とする会社が病院を運営することを妨げることが良いか」

スウェーデンの政治において、民営化は一番対立が大きい問題であるだけでなく、政治家と国民の間の意見も異なることが世論調査でわかっている。下記の表はヨーテボリ大学政治学科が公表したものである。質問は「利益を目的とする会社が病院を運営することを妨げることが良いか」で、数字は100(良い案である)-0%(悪い案である)である。上から順(左軸)に県の政治家、市の政治家、市民であり、折れ線グラフの頭文字はそれぞれの政党である。
この表を見てわかるのは、M(穏健党)、FP(自由党);KD(キリスト教民主党)、C(中央党)の政権与党の政治家の意見が政党を支持する市民よりもはるかに右寄りであることである。野党の意見は与党ほど異ならないが、V(左翼党)、S(社民党)では、政治家の意見は市民よりも若干左寄りである。


スクリーンショット 2013-12-19

クリスマス

クリスマスの歌をどうぞ。

田中好子さんの「It's gonna be a cold cold Christmas」

1975年にDanaが歌って有名になりました。



1974年12月24日、東京銀座中央会館における「白いコンサート」から「ジングル・ベル」



減税案廃案

毎月の収入が36150クローナ以上は国の所得税が課税される。与党は来年度予算において、この対象所得を上げることによって減税を試みたが、今回野党の反対にあって廃案となった。これは単純な賛否の問題だと思われるが、そうではない。

90年代初頭の財政改革によって、国の予算は歳出と歳入を同時に決定することになった。これによって後で歳出のみを増やすことはできない。今回の問題は、すでに11月20日に決定された予算の一部である減税案を後で却下することができるかどうかであった。与党は出来ないと述べ、野党は90年代の改革案は公的財政の強化である以上、減税案は後でも拒否できると主張した。
国会本会議、憲法委員会、財務委員会などでの審議を経て、今日最終的に本会議において159対156票で、減税案は廃案となった。

スウェーデンの世帯数

スウェーデンでは最後の国勢調査が行われたのは1990年である。その後は住民登録情報によって人口統計が作成されてきた。しかし住民登録情報だけではわからないことが一つあった。それは世帯数である。しかし住民登録方法の改正によって、2012年国勢調査廃止後初めて世帯数の把握が可能になった。
これによると、2012年の世帯数はおよそ418万で、これは1990年に比べると9%の増加である。世帯種別には、単身世帯が一番多く37,7%、次に子供なしの単身世帯24,9%になる。

下の図は、男女、年齢別の単身者の人数である。オレンジ色が女性で、青色が男性である。男女の単身者数は年齢によって大きく異なるのがわかる。

スクリーンショット 2013-12-07

政党支持率

この11月に行われた統計庁の政党支持率調査によると、与党(C+F+M+KD)支持は39,7%、野党(S+V+MP)は49,8%で、野党が優勢である。なお極右のスウェーデン民主党の支持は9,3%である。2010年の選挙結果と比較すると、社民党の支持率が3,6ポイント増え34,3%に、穏健党は4,6%減少して25,5%になっている。

スクリーンショット 2013-12-06

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Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

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