スウェーデンの公的介護

スクリーンショット 2015-09-25

上図は1985年から公的介護を受けている高齢者の割合を表している。公的介護を受けている割合は徐々に減少している。そして2000年頃に大きな変化があったことが分かる。2000年頃まで特別な住居に入居している高齢者の割合はほとんど変わらなかったが、ホームヘルプを受けている高齢者は減少した。2000年頃から徐々に特別な住居入居者は減少し、2014年現在高齢者の4.3%が特別な住居に入居している。一方、ホームヘルプは2000年代後半まで徐々に増加したが、その後若干減少している。2014年現在、高齢者の8.6%がホームヘルプを受けている。

この原因は複雑である。
1.統計の取り方の変更。特にホームヘルプに関しては、この期間何回か統計の取り方が変更されているので、比較には注意を要する。
2.特に2000年代の特別な住居減少の一つの原因は、サービスハウスの減少である。サービスハウスが一般住居であるシニア住宅などに改築されることにより、特別な住居統計ではなくホームヘルプ統計に含まれることになった。
3.特に2000年代には、前期高齢者の人数は変化しなかった(反対に減少した市もある)。この結果、サービスハウスなどの介護度が低い高齢者を対象とした特別な住居の必要性は減少した。
4.特別な住居入居が徐々に厳しくなった。
5.スウェーデンの高齢者ケア政策の一つの原則は在宅主義であるが、「行きすぎた」在宅主義に対する批判も多くなった(日本のように、施設対住居という対立構造ではなく、特別な住居も住居なのでどの様な住居にどの様な高齢者が住めるかという議論である)。
6.これらを背景として、特別な住居や「安心住居」の建設に対して国庫補助が出された(2007-2014年)。

特別な住居と「安心住居」

高齢者施設/住居などの建設に対して特別な補助金制度は存在しないが、政府は方向性の推進あるいは問題点があると見られる時には一時的な補助金制度を導入する。2001年から2005年、スウェーデンでは1万8千戸の特別な住居が減った。このためスウェーデン政府は、2007年から高齢者施設/住居の建設および改築に補助をすることを決定した。導入時における対象は特別な住居のみであったが、2010年から「安心住居」にも拡大された。

特別な住居は行政の決定によって入居するが、「安心住居」は新しい住居形態で、以前のサービスハウス(特別な住居に含まれる)によく似ているが、入居に関しては行政は関与しない(他の住宅と同じく住宅斡旋所に申し込む)。「安心住居」の対象は70歳以上で、普通の住居に一人で住むことに不安な70歳以上の高齢者が対象である。補助額は新築の場合1平米あたり2600クロー ナ、改築の場合2200クローナである。補助の対象となる居室面積は最高35平米、1居室当たりの共有面積は15平米までとなっている。なお補助を得るのは建物の所有会社である。

先日、2007年から2012年までの途中経過が報告された(補助は2014年で打ち切り)。これによると、2012年末まで289件、9381人分の特別な住居、75件、2031人分の「安心住居」に対する補助が認められた(補助金総額13億クローナ)。特別な住居のうち79%が新築、14%が改築で、「安心住居」は57%が新築。26%が改築である。特別な住居の新築費用は1戸当たり107万クローナ、改築費用は1戸当たり85万クローナで、これに対する補助額は1戸当たり新築と改築それぞれ12万クローナ、9万クローナになる。同様にして、「安心住居」の新築費用は1戸当たり152万クローナ、改築費用は1戸当たり81万クローナで、これに対する補助額は1戸当たり新築と改築それぞれ14万クローナ、13万クローナになる。「安心住居」の新築費用が特別な住居よりも高いのは、居室の大きさによるものである。平均的な特別な住居はキチネット付きの1居室であるが、平均的な「安心住居」は台所付きの2居室である。なお特別な住居における共有面積は「安心住居」における共有面積のほぼ2倍になる(30%と14%)。特別な住居で介護住居と呼ばれるものは、原則ユニットケアで、ユニットにおける生活が中心となる。このため、台所、食堂、居間などの共有部分は重要な意味を持つ(以前に比べて広くなっている)。

なお「安心住居」は一般住居であるので、ケアはホームヘルプとして地区のホームヘルプ団体によって行われる。「安心住居」はサービスハウスに代わるものとしてまだ試行錯誤の状態で、将来的に見直しされる可能性も存在する。「安心住居」はホームヘルプを受けることが出来てもユニットケアでもないので、介護度が中度以上になると住み続けるのが難しい。つまり「安心住居」は普通の住居と特別な住居の中間形態である。
あとひとつの問題は「安心住居」およびシニア住宅が一般住居である点である。高齢者の場合、入居するためには家賃の2倍の収入(年金などの収入)が必要とされる。新築の場合ほど家賃は高くなる傾向があり、(住宅補助があるにもかかわらず)結果として相対的に年金などの収入が多い高齢者のための住居になり危険性がある。
(2015/09/24再編集)

看護師の国際移動

EUによると、種々の職業のうち一番国際移動が多いのは看護師で、次に医師、電気技師、教師が続く。
看護師に関してはルーマニアの看護師が外国で働くのが一番多く、2008年から2013年まで7120人が移住した(正確には外国の看護師免許を申請した)。次に多いのが、スウェーデン6585人でノルウェーが主な移住先である。他にはドイツ、スペイン、ポルトガルの看護師が外国で働いているようである。

スウェーデンは看護師不足を解決するため、派遣会社に頼っていたが、これが高すぎると批判があった。このため最近は上記の国々から直接看護師を雇用することが普及しはじめている。基本的な看護師資格は各自がすでに持っているので、後は半年のスウェーデン語コースに行くだけである。すでにダーラナ県、カールマル県、ウプサラ県などはこれらの看護師を雇用したそうである。

なおスウェーデンの医療は公的に行われているのが普通で、労働組合との間で労使協約が結ばれる。民間の医療機関でも同じで、外国の看護師だからと言って待遇が悪くなるわけではない。
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Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

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