なぜ誤解が多いか

スウェーデンについて書かれた記事を読んでみると、誤解があることも少なくない。なぜ誤解が多いのか考えてみた。

1.情報が少ないあるいは古い

スウェーデンが日本の新聞に載ることはまれで、大抵は福祉か環境関係であり、イギリスやフランスのように情報が広く十分あるわけではない。スウェーデンに特派員をおいているマスコミはなく、スウェーデンの政治、経済、社会が継続的にフォローされていない。このためにわか勉強で事実関係の確認をしないままで、憶測で書かれる場合もある。一応関係者は下調べをしてくるが、場合によっては情報が古いあるいは間違っている場合もある。
また社会の変化に応じて、スウェーデンの政策および対応も変化しているので、古い情報に基づく議論は誤解を与える(例えば原発の廃止)。
特に事件が起こった場合など、背景などを調べる時間もない(と思われる)ので、英語誌の記事がよく引用される。これらの記事が正確であれば問題はないのであるが、常にそうだと言い切れない。

2.スウェーデンの評価は2分化されやすい。

なぜか知らないがスウェーデンの評価は2分化されやすく、「あばたもえくぼ」派と「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」派に分かれやすいようである。このため感情論、主観論が多く、偏見、誤解が後を絶たない。10年ほど前に著者が体験したことであるが、ストックホルム市を訪問した時、「スウェーデンはフリーセックスで、・・・・・」という挨拶から始めた日本の市長がいた(もう市の名前は忘れたが)。

3.日本における政策論争に利用

日本における政策論争にスウェーデンのことが話題に上がることも多い。スウェーデンの例などを参考にすること自体は問題ではないが、制度の違い、全体の中での位置づけなどを考慮しないで、無批判的に使われる場合もある。

4.見出し症候群

日本の新聞などが北欧について書くとき、一つのパターンがある。見出し症候群である。「所得の75%は税金に消える」「福祉国家スウェーデン」「安心の国スウェーデン」などである。このような見出し自体が悪いのではなく、見出しを先に用意して、見出しに合うような事実だけを探して、他の事実は全く無視してしまう記事の書き方が問題なのである。同様にして、制度の違いを分析することなく限られた情報からこじつけ的な結論(ストリー)が書かれることも少なくない。

5.一点豪華主義

スウェーデンが紹介される場合、システムとしてその分野の全体象よりも部分的な現象が優先され、「一点豪華主義」につながりやすい。場合によっては、このような見方が誤解に結びつくこともある。

6.情報の正確性と妥当性

問題のない国はないように、スウェーデンも桃源郷ではない。客観的に見るために、問題点も挙げること自体は良いと思う。しかしながら問題点は批判のレベルが低いことである。客観的な記事を書くためには、私見によれば2つの条件がある。正確性と妥当性である。

情報はできるだけ正確である必要がある。このためには情報の出所を十分考慮する必要がある。居住日本人の情報も常に正しいとは限らず、複数の情報源からその判断をするべきである。相対的に行政知識などが十分でない場合が多い。また統計の国際比較は難しく、情報が読み違えられていることも少なくない。夕刊紙などは誇張が多く、短路的な結論が出されていることも多い。スウェーデンでも問題があるが、それが一般的なのか特別な場合なのかによって記事の書き方も異なってくる。どこまで記事に信頼が置けるかは、最終的には記者の能力次第である。
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