何のための休暇か

 スウェーデン、日本共に在宅介護ということが強調されているが、条件が大きく異なることがある。それは、高齢者の居住状況である。スウェーデンでは、在宅(特別な住居も在宅なので、ここでは一般住居における居住に限定する)は、高齢者一人あるいは夫婦のみで住んでいるのが大半であり、子どもと住んでいる高齢者はほとんどいない。しかし日本では、高齢者の42%が子どもと同居している。このため、日本での在宅介護は好む好まないにかかわらず、他の家族メンバーの負担が大きくなる。特に認知症高齢者の場合は、家族は一時も目を離せなくなる。最近包括ケアという言葉が良く聞かれ、医療と介護との連携はもちろん強化しなければならないが、同時に家族に対するサポート体制も強化する必要がある。

 数年前、政府関係者がスウェーデンのある市の高齢者ケア部長を訪問し、家族の休暇制度について質問した。この場合の休暇とは介護をしている家族が休暇を取って休むのではなく、働いている家族が仕事を休んで高齢者のケアをするためである。政策上は全く無益であると、一刀両断であった。そもそも働いている家族が休暇を取ってケアをすることは、仕事を休むので社会的損失である。また介護のアマチュアが年に数回高齢者のケアを行っても、量的にも質的にも介護職員のケアに勝ることはない。もちろん、家族が自己意思によって一時的に仕事を休んでケアを行うのは個人の判断にまかせるべき問題であり、介護制度の充実に務める方が就労の増加にもつながるので、長期的には優れているという意見であった。なお必ず財源の問題が出てくるが、これはまた別の機会に。

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