個人番号と住民登録

スウェーデンでは必要な情報は行政が住民の個人番号に基づいて管理している。個人番号は銀行や会社などの民間団体も使っているが、特別な使用制限はない。あるのは個人認証が必用な場合ということだけである。物を現金で購入する場合はもちろん個人番号は必要ではないが、クレジットで購入する場合などは正確な認証のために個人番号が記載された身分証明書か暗証番号が必要とされる。個人情報が扱われるところは必ず個人番号が使われており、名前、住所が無くても個人番号のみでも機能する。なぜならば個人番号を通じて住民登録にリンクしているからである。個人番号があるということは、住民登録がされていることと同義語であり、その確認も可能である。

なお日本での議論に関連して注意しなければならないのは、一ヵ所のセンターにおいて個人情報がすべて管理あるいは照合がなされているのではなく、個人番号に基づいて各行政機関で管理されているということである。言い換えるならば、スウェーデンの個人番号システムは全国的な住民登録システムに基づく、分権的なシステムであると言える。各行政機関間の情報の照合が必要な場合は、法律に基づいて行われ、自由にオンライン化されているわけではない。また行政が管理している情報は個人情報法に基づいて、本人に内容を開示しなければならない。しかしインターネットでの情報開示はまた別の問題である。多くの場合、本人であることを確認するために電子認証が必要である。社会保障面での個人情報管理はきわめて厳重であり、分野を超えた情報の照合は法律にもとづく場合しか許されていない。

住民登録は国税庁住民登録部で行われ、この部署が個人番号を発行する。新規あるいは変更の申請から1-2日でデータベースに登録され、その日のうちに行政機関に自動的に連絡される。住民登録は住民登録法によって規定され、登録情報が間違っている場合は、他の国政機関や地方自治体などはこれを国税庁住民登録部に連絡しなければならない。正しい住民登録のために、住民登録部では調査を行い、社会保険庁、地方自治体、徴収庁と協力することが多い。選挙の投票カードや確定所得申告書が住所不明で戻ってきた時に、系統的な調査が行われるようである。

日本でのマイナンバー制度の議論においてスウェーデンの例が挙げられる機会が増えたが誤解も多いようで、個人番号の問題と公文書公開の原則の問題との区別がされていない。たとえば過去の所得が公開されているのは、公開情報だからであって個人番号とは直接の関係がない。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Taro

Author:Taro
OKUMURA CONSULTING社代表
Sweden

スウェーデンの社会政策などを日本に紹介する仕事をしています。
詳しいプロフィール

カウンター
検索フォーム
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
RSSリンクの表示
リンク