特殊学校を維持

 スウェーデン政府は知的障害者のための教育について審議するために、2001年に審議会を設置した。審議会は2004年に最終報告書を政府に提出し、この中で特殊学校を維持すべきであるとしている。政府はこの報告書およびこれに対する各団体からの意見を考査して、今年の3月に審議会と同様に学校形態として特殊学校の保持、普通学校とのさらなる協力が必要とする報告書を国会に提出した。法案自体は後日に国会に提出するとしているが、特殊学校の廃止を主張している政党はないので、法案はほとんどそのまま国会を通るものだと思われる。なお学校形態と実際の授業とは別の問題で、学校形態としての特殊学校は独自の指導要綱があると言う事である。また普通学校でも特殊学校でも、児童に医療介助などが必要があればアシスタント制度があるので、児童の医療介助の問題とも別である。

 なお特殊学校に行く権利がある生徒の親が代わりに普通学校を望めば、1996年から試験的にこれが出来るようになっている。今回これが恒久化される予定である。ここで興味があるのは、親が望むならば普通学校に行く機会を与えながら(普通学校の指導要綱にしたがう)、特殊学校に行く権利という概念を使っている事である。著者はこの分野の専門ではないが、同じ指導要綱にしたがうか(つまりは同じ知識目標を持つか)どうかというのは重要な視点であるように思われる。

 北欧は統合教育だと言われているが、スウェーデンの特殊学校の存在は本当ですかという人もいる。特殊学校の存在がユネスコのサラマンカ宣言あるいはインクルージョンの考えに合っていないと断定するほどの知識は著者は持っていないが、統合の概念にしろ、簡単であるように見えるがゆえに誤解が多いという研究者も多い。1年ほど前のテレビ番組で、特殊学校を廃止するにしろ存続させるにしろあまりにも形式論に陥って、どの様な条件のもとで教育が行われるかという事の方が重要であるという指摘もあった。なお上記の報告書において、政府はサラマンカ宣言などについて触れているが、(スウェーデンの)特殊学校が孤立した存在ではないので宣言などには触れないとしている。(2006年5月21日記、22日追記)

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