誤解を広めるマスコミ

 スウェーデンは高福祉高負担として有名であるが、例えばどの程度まで高負担なのか、あまり新聞には書かれない。最近の話題として、消費税は25%というのがよく目に付くぐらいである。半年前に、椅子から転げ落ちるぐらいの記事を読んだ。それも社説である。「国民の負担は非常に重い。労働者は給与の半分を納税し、消費税にあたる付加価値税は最高25%」と、朝日新聞は社説(2010年8月1日)で書いた。
スウェーデンが高負担であることに違いはないが、でたらめな内容である。給与の半分を納税している労働者はいない。源泉徴収率が50%を越すのは月給がおよそ15万クローナ(およそ195万円)以上の人で、大企業の社長ぐらいではないかと思う。どう計算したら、50%になるのか不思議である。考えられるのは、この50%は国際的に使われているGDP比の負担率(税金と社会保障負担の割合)であるが、マクロの負担率と個人の負担率を同じように論じることはできない。
誤解のあとひとつの要因はデンマークとスウェーデンを十分区別していないことである。北欧諸国においてデンマークは特別で、他の国々と根本的に異なる。デンマークには原則社会保険制度がないので、その負担は税制度が行う。しかしスウェーデンでは社会保険の負担は原則雇用主が行う。このため、デンマークとスウェーデンでは国民負担率あるいはGDP比の公的負担率が同じぐらいであっても、個人レベルにおいては税率が異なる。
負担率について誤解は多いが、その責任の一端はマスコミにある。記者あるいは論説委員が数字の意味を理解していないのである。なお朝日新聞の名誉(?)のために書いておくと、他の新聞に比べて間違いが多いということではなく、著者が読んだ新聞がたまたま朝日新聞であったことである(しかし最近よく目にする)。
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