ユニットケアとは何か(私的ユニットケア論)

最近、日本でもユニットケアという言葉が流行語になっている。何のためにユニットケアをするのであろうか。ユニットケアとは以下の特徴を持っていると考える。

1.ユニットは生活単位であること。生活単位と管理単位は同じではない。

2. ユニットは、物理的に他のユニットから区別されていること。現在多くの施設ではユニットケアの導入などが行われているが、既存の施設を使っている場合、体 育館のような大きな平面を分けているだけであって、以前に比べて一歩前進ではあるが、ユニットケアの特徴を十分生かし切れていない。

3.職員は、夜を除いてユニットごとに固定していること。夜は他のユニットと兼ねることも可。職員は24時間、現場にいることが条件である。

4。それぞれのユニットは居住部と共有部から成り立つ。共有部は主に食堂と居間である。

5. 食事は、それぞれのユニットごとに準備することが必要である。居住者も準備(皿洗いなども含む)に参加する。ただし、どこまで食事の準備をユニットごとで するかは、居住者の介護レベルによって異なる。たとえば、夕食をすべて材料からユニットで作るか、ご飯とみそ汁のみをユニットで作って、その他は施設の厨 房で作るか。

6.ユニットは、居住者にとってはホームであるので、出来るだけの自由/自己決定が認められる。これはユニットケアだけでなく、施設ケア一般に言えることである。

7.職員はあくまでサポート役であるが、お手伝いさんではない。職員は入居者と生活を一緒にしていくという表現が使われることがあるが、これは誤解である。職員はユニットケアで生活しているのではなく、入居者の自立支援のために働いているのである。

8.小規模にすることは、入居者それぞれに目が届く介護をすることが目標であって、ユニットの入居者全員が同じことをする必要はない。ユニットは幼稚園ではない。

9。居住者が食事の準備を手伝えるように(正確には入居者の調理を職員が手伝えるように)、台所/食堂の広さおよびその機能を十分考えることが必要である。一般住居が使われる場合もあるが、多くの場合台所/食堂などがせますぎる。

10。良い施設(住居型施設)は悪い在宅よりも良いことを認識するべきで、単純な施設批判論は害となる。

11。 ユニットケアにおいては個室ということは言われているが、これは住居であるということと同じではなく、住居であることの意味が十分考慮されていない。日本 では住居の定義はないが、住居であるということは原則的に死ぬまで住めることである。このため、住居のハード的要件と法律的要件が必要である。

12。 各ユニットの入居者の介護レベルをどのようにするかは難しい問題である。入居時において、介護レベルをある程度同じに保つことは可能であるけれど、施設も 自宅であるということを考量すれば、施設側の都合で入居者を移すことはよくない。このため入居者の介護レベルには差が出てくる。反対に言うならば、ユニッ トケアとは入居者の介護レベルに差が出てきても入居者にあった介護を出来るようにしやすい介護形態であるとも言える。

13。ユニットケア が必要なのは、24時間職員がそばにいなければならない入居者で、介護度の低い高齢者は適していない(自立支援を目的にする以上、介護度の低い高齢者の場 合、ユニットケアは過度の介護になりやすい(サービスという言葉がよく使われるが、自立支援のサポートである)。とりわけケアハウスのユニット化というの は、理解に苦しむ。

14。ユニットケアに限らず、厚労省の設置基準そのものがレベル改善につながると同時に融通のきく使い方を妨げることもあり得る(設置基準で作りましたが使っていません、変更できませんというのは、良く日本の施設で見られる)。

15。一番の問題は施設の設置、管理、運営が分離してないことである。(2004年10月2日記、2011年10月18日追記)
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