誰のためのケアハウスか?

今日の毎日新聞によると、全国に50万人分のケアハウスを提供する案が出ているらしい。目標自体は素晴らしいものであるが、幾つかのおかしなところもあ る。第1には無料か格安で公有地の提供を受け、運営は民間に委託する「公設民営方式」や、官民共同出資のPFI(公共事業の民営化)方式を採用し、公的な 運営補助はしないらしいが、問題はなぜケアハウスのみに格安の公有地を提供するかということである。民活導入の問題点は別の機会に譲るが、民活導入が必要 なのはケアハウスだけではないのである。

第2は新聞によれば、中所得者層向けの個室ケアサービスであるらしいが、なぜ介護の必要性ではな くて所得のレベルによって住居形態を変えるのであろうか。貧困なのは個人の責任なので、(スタンダードが低い)特別養護老人ホームに行って下さい、とでも 言うのであろうか。厚生労働省によるケアハウス増設が「硬直的な施設整備補助制度が障害になっている。。。」と指摘されているらしいが、このように所得別 の住宅を作ること自体が、まだ日本の住宅政策が貧困者対策であることの証明であるし、必要なのは硬直的な補助制度を変えることであって、また別の制度を 作って継ぎ足しを増やすことではないのである。

第3にこれが雇用対策の一環として出てきている点である。ケアハウスは今までの説明では、 自立高齢者を対象として住居で、1万件で15万人の雇用が作れるのであろうか。今必要なのは、所得の大小に関係なく住める良質の住宅であり、十分な介護が 受けられる施設なのである。もちろん家賃などの負担をどのようにするかは考えられなければならないが、必要な住宅を保障するための収入保証あるいは家賃援 助が必要なのである。日本の福祉はいつまで経っても選別主義であり、普遍主義ではない。特別養護老人ホームの許可条件が、来年から変わるらしいが、これと 今回のケアハウスの話しの統合性はあるのであろうか。ぽつぽつと改善案などは出てきているのであるが、施設体系だけでも、もう少し統合性の取れた政策案を 出してもらいたいものである。老人保健施設なども含めた施設全体の将来に向けた方向性がもうひとつわからない。(2001年9月1日記、9月4日追記)
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