どれだけ高福祉高負担か?

パブロウの条件反射のように、スウェーデンといえば高福祉高負担という言葉が返ってくる。国民負担率という言葉の使用が誤解を生んでいることは何回か指摘してきた。今回は社会保障給付率を考えてみたい。
国際的にはOECDの社会保障給付率(対GDP比)という概念が使われ、これは粗公的社会支出とも呼ばれる。どの国の社会保障給付率が一番高いであろうか。スウェーデン、デンマーク?どちらも間違いである。2007年度統計によると、社会保障給付率が一番高いのはフランス32.8%、2番目がスウェーデンの32.1%、3番目デンマーク30.8%である。なお日本は20.3%である。
社会保障制度は各国によって異なるため、粗公的社会支出だけの比較は問題がある。問題点はいくつかあるが、第1に給付が課税されるか非課税か、第2に税控除の大きさ、第3に義務化された私的給付の大きさである。簡単にいえば、課税、控除などを考慮した数字が純公的社会支出であり、さらに義務化された私的給付を考慮すれば純社会支出総額になる。
これらを考慮すると、フランスの純公的社会支出は29.6%、スウェーデンは25.7%になる。なお日本は19.7%である。つまり、スウェーデンなどは課税される社会保障給付が大きいため、GDP比で6.4ポイント公的社会支出率が下がる。これはフランスでは3.2ポイント、日本は0.6ポイントである。スウェーデンと日本は、粗公的社会支出では11.8ポイント違うが、純公的社会支出では6ポイントと、その差異は減少する。言い換えるならば、スウェーデンなどの社会保障給付率が高い国は給付に課税という形で、負担率および給付率に二重計算されている分が存在する(負担面から見れば、名目上の負担率が高いひとつの原因でもある)。
純社会支出総額については紹介を省くが、各国の社会保障制度が異なるため名目上のマクロ数字の比較だけでは分析が不十分である。
(資料:OECD、Is the European Welfare State really more expensive?, 2011)
なお国立社会保障・人口問題研究所から、同様の分析の古いバージョンの和訳が公表されている。OECD、純社会支出 第2版(2001年)
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