高齢者ケアの民営化

 スウェーデンでは民営化は政治的議論の大きなテーマであるが、高齢者ケアなどにおける民営化は日本と少し事情が異なる。高齢者ケアの最終責任は市にあり、運営が市であれ民間会社であれ、市が最終責任を負っている。この責任下において民間委託あるいは購入が行われる。まず運営が委託される場合、市と業者の間で契約書が結ばれる。この場合、質の保証というのは大きな要素である。また民間の介護会社においても、職員の労働条件は市の場合とほとんど変わらない。民間委託されても職員は自治労に留まり、施設側と自治労との間で 賃金や労働環境などの協約が結ばれるからである。

高齢者ケアの民営化と言った場合、大きく分けて3つの形態がある。第1はホームヘルプあるいは施設の運営が民間事業者に委託されるもの(90年代後半から、価格の入札ではなく質の入札が増えた)。第2は民間事業者独自の業務を市などが購入するものである。例えば高齢者ケアの委託の場合、行政決定の対象者(ホームヘルプを受ける人、施設に入居する人など)は福祉事務所において決定され、ホームヘルプあるいは施設自体の運営が委託されるものである。普通は入札という形で事業者が決定される。なおホームヘルプや入居は福祉事務所が決定するため、事業者側は入居者を選べない。第3は顧客選択制度あるいは自由選択制度と呼ばれるもので、高齢者ケアがホームヘルプ業者を自由に選べる制度である。なお自由選択制度は保守政権の公約で、希望する市は2009年から導入できるようになった。

 社会庁の報告書によると、2011年現在ホームヘルプの民営化は16%、施設で20%である。今までの民営化はいわゆる委託形式が多かったが、2009年から自由選択制度が任意で導入された。これは市の条件を満たす介護会社が自由に市場に参入し、顧客が介護提供会社を自由に選べる(サービスは行政の介護認定者によって決定されるため、サービスは選べない)というものである。
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