銀行の個人情報

この春先に、生活保護申請者の預金情報について記事が載っていた。今までは申請者の預金情報は居住地にある銀行に限っていた。これを全国に広げるというものである。新聞記事が正しいとするならば、これもいくつかの問題が存在する。

1.合法性
記事によれば、厚生労働省は銀行協会と合意したということであるが、これはどこまで合法的なのであろうか。生活保護法によれば、預金情報の提供を行政は銀行に依頼することができる。一方、銀行には個人情報保護の義務があるので、もし情報提供が必要なのであれば、法的根拠を伴わない合意ではなく、個人情報の保護を考慮した情報提供義務という形で法律化するべきである。住基ネットの議論においてもあれだけの反対意見があったのに、このように十分法律に基づかない情報提供は大きな問題であると言わざるを得ない。なぜ銀行協会およびマスコミはこれを問題視しないのであろうか。合法性だけでなく、銀行はどの様な情報を提供したかを預金者に報告すべきである。ただ単に依頼があったからというのでは、無責任である。
なおスウェーデンでは生活保護受給者であっても預金情報は個人情報として特例を除き外部には提供されない。これは他の方法によって調査される。

2.情報提供の範囲
情報提供を依頼するのは申請者あるいは受給者(生活保護受給は原則世帯なので、世帯員全員?)だと思うが、新聞には親族も含まれると書かれていた。ひとつの世帯の生活保護申請に対して、親族全員の預金情報が提供されるのであろうか。あまりにもアンバランスである。法律において情報提供の範囲を定めないと、なし崩し的に運用される危険性が高い。

最近の新聞にはこの問題に関しての記事はもう載っていないので、厚生労働省のホームページを探してみたが、ここでも不明であった。いつも思うことであるが、どうも日本の行政は決定過程が不明なことが多い。
情報提供を本店経由で行うことに合意という新聞記事は見たことがあるが、個人情報提供の問題点についての記事はなかったようである。マスコミは何の問題もないと思っているのであろうか。
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