生活保護受給者はおよそ4分の3減らすことが出来る。

生活保護費の削減について、厚労省は財務省と合意をしたという記事が載っていたので、世帯類型と世帯人数による内訳を調べてみた。

生活保護1
(国立社会保障・人口問題研究所の統計より作成)

2010年、136万世帯が生活保護を受給していた。このうちおよそ90%が一人か二人世帯である。最近話題になっている世帯のスケールメリットについては、その計測方法および考え方が正しいとしても、対象は限られてくる。
高齢者世帯および傷病・障がい者世帯で、3年以上生活保護を受給している割合はそれぞれ75%、60%になり、生活保護が日常の生計源の一部になっている。受給者の25%(高齢者の場合は35%)が、10年以上生活保護を受給している(受給せざるを得ない)というのは社会保障制度に構造的な原因がある。
生活保護が最後のセイフティネットであり、もし他の社会保障制度で最低生活を保障することが出来れば、単純計算で生活保護はおよそ4分の3(高齢者世帯と傷病・障がい者世帯)減らすことが出来る。
生活保護の現状でも書いているように、世帯類型別にその対策を取る必要があり、単純な生活保護費の削減論は本末転倒というか的を得ていない議論である。そもそも三人以上の世帯はおよそ10%であり、低所得世帯率(最低生活費未満の世帯/総世帯数)が大きいのは、母子世帯と高齢者の単身世帯である。生活保護費増加の最大要因は高齢者の増加および保護率の上昇である(そして高齢者の場合、長期受給の割合が大きい)。
これらの制度の構造的な原因を分析することなく、生活保護費の削減に焦点が当てられていること自体が異常である。長期的な最低保障は他の社会保障制度で行う必要があり、生活保護制度は短期的な最低保障に特化できるよう生活保護制度の位置づけを根本から考え直す必要がある。
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