ABBAは冷遇された?

朝日新聞にABBAについての記事が載っている。これは多分、ABBAミュージアムのオープンに合わせて書かれたものだと思うが、少しおかしなことが書かれている。まずタイトルが「ABBAに踊るスウェーデン 冷遇一転「国の誇り」」で、ABBAがスウェーデンでは冷遇されていたが、現在では誇りに思われているということらしい。
どこからこんな情報を得たのであろうか。記事を読んだ限りでは、これを証拠立てる事実は一つもない。1970年代の初め及び中頃、スウェーデンでは音楽の商業主義に対して批判があり、ユーロビジョン・フェスティバルも批判された。しかし批判があったからといって、ABBA(あるいはABBAのような曲)が冷遇されたとは言えないし、評価が低かったわけでもない。スウェーデンでもABBAの曲は有名であり、ラジオやテレビにおいてもよく紹介されていた。著者も当時ABBAのレコードを買ったことがあるが、冷遇されていたという認識はないし、初めて聞く話である(誰が冷遇した?ファン?)。

記事には、ファンクラブ代表の話が載っているが、これもおかしい。記念碑が正式に市あるいは市議会にて議論されたかどうか知らないが、スウェーデンでは一般的に在命中の「有名人」の記念碑を作ることはほとんどない。またいくら有名であってももうこの市に住んでない人の記念碑を作る理由があるかどうか。最後に、「ファンは馬鹿にされた。ポルノを買うように、隣町までこっそりレコードを買いに行ったんです」と引用されている。不思議な文章である。この3万人の市にレコード店があったかどうか知らないが、ABBAのレコードを買うのになぜこっそりと行かなければならないのか。これは絶対ありえないと断言できる。まあ考えられるのは、当時若者はロックが好きだったので、ABBAのような歌謡曲は同世代には恥ずかしくて買えなかったというものである。もしこの通りなら、この話は「冷遇」とは全然関係がないことになる。
解散後、メンバーはそれぞれ音楽分野で活躍し、ミュージカルや映画も作成された。なおスウェーデンの音楽輸出に注目が集まったのは90年代からで、ABBAは先駆者である。

2013年7月12日追加
ABBAに対する批判は商業主義だけでなく、非政治性もあった。70年代、音楽界においてもベトナム戦争におけるアメリカが批判された。しかしABBAはひとつも批判的なことを言わなかった。このため他の音楽家からはこの非政治性が批判された。
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