予算決定プロセス

スウェーデンは、90年代初頭に金融危機、通貨危機、経済危機を体験して以来、国の予算決定プロセスは大きく変わった。一番変わったのは、各分野の予算審議の前に予算の枠組み(歳出総額)を決定することである。まず予算決定に際して4つの目的がある。
1.一般政府部門においてはひとつの景気サイクルにおいて平均1%の黒字を目標とする。
2.一般予算および(一般予算に含まれない)年金制度の向こう3年間の歳出総額を決定する。
3.市や県などの地方自治体においても赤字運営はできない。ある年のマイナス分は3年以内に解決することが求められる。
4.黒字化および歳出総額が予算プロセスにおける財政的余裕を生み出す。予算は27の分野に分けられていて、原則的に一分野の出費増加は同じ分野内で出費削減を通じて行わなければならない。

予算決定のプロセス
12月 財務省の経済見込みに従って、政府は経済政策法案作成の準備を始める。
2月 政府部内にて来年度の優先順位の決定などの議論
3月 少なくとも3月1日までに各外庁から本省宛に年次報告、予算資料を提出。各省は外庁の予算案を審議の上、財務省に提出。
4月 遅くとも4月15日までに、政府は経済政策法案を国会に提出する。経済政策法案は向こう3年間の分野ごとの歳出総額案および次年度の経済見通しを含む。国会の本会議は経済政策法案を各委員会に送付。各委員会は審議の上、意見書を財務委員会に送付。財務委員会はこれをもとに委員会の意見を本会議に送付。
5月 各省は決定された歳出総額にもとづき、予算概案を財務省に提出。各省は9月に出す予算案の原文作りに着手。遅くとも5月14日までに、政府は各分野の報告書を国会に提出。
6月 国会は経済政策法案を審議の上、決定。政府は財務省は最新の経済見込みに従って、改革のための財政的余地があるかどうか与党代表と議論し、秋の予算書の方向付けを決定。
8月 予算案決定までに、財務省と各省とで協議が行われる。問題の重要度によって、協議は事務官、局長、次官、大臣レベルに分けられる。
9月 遅くとも9月20日までに、政府は国会に予算案を提出。提出と同時に、予算案はインターネットで公開。秋国会開催日より15日以内に、議員は予算に関する動議を提出し、予算案と共に各委員会に送られる。各委員会は審議の後、意見書を財務委員会に提出。財務委員会はさらに審議の後、意見書を本会議に提出。なお選挙の年には、予算案の提出は少し遅れる(4年ごとの統一選挙は9月の第2日曜日である)。
11月20日ごろに、本会議は審議の後、分野ごとの歳出総額などの決定を行う(予算決定の第一段階)。この後、各委員会は分野ごとの予算案の審議を開始、意見書を本会議に送付。
12月中旬 各委員会からの意見書にもとづき、予算案を本会議で審議、決定(予算決定の第二段階)。財務委員会は予算案の概略を作成し、本会議はこれを決定する。この後、政府は各外庁に指示書を送付。指示書には各外庁の業務目標、予算、後日政府に提出する業務の結果に関する情報などが含まれる。

国会の専門委員会の機能の仕方は日本と大きく異なる。委員会は非公開であり、委員会の議員以外の政治家あるいは官僚が委員会に参加することはない(もちろんテレビで審議が中継されることはない)。また委員会は発言議事録ではなく、答申書と呼ばれる決定報告書を出す(インターネットでダウンロード可能)。なお委員会はある決まった話題について関係団体あるいは有識者をまねいて公開の勉強会(?)を開くことがある。

2013年経済政策法案における歳出総額(2013年4月提出)
スクリーンショット 2013-10-21
すでに2015年度までの歳出総額が国会で決められている。2016-2017年度は政府見込みである。

2014年度予算案における歳出総額(2013年9月提出)
スクリーンショット 2013-10-21 9
2013年度の歳出総額は変わらないが、2014-2016年度は若干変更して国会で決められた。2017年度は政府の見込みである。なお歳出総額にはGDP比で0,5%から1%の予備費も含む。予備費は歳出総額を変更しないで価格、人件費の変動などに対応するために設けられている。単位は10億クローナである。

政策決定過程

2013年10月28日追加
2014年度予算案における公的セクターにおける歳出バランス(2013年9月提出)
スクリーンショット 2013-10-28

GDP比の負担率はほとんど変わらないが、歳出率はGDP比で47,8%まで減少する。また公的セクターの歳出バランス(Finansiellt sparande)は2015年まで若干赤字であるが、2016年から黒字になる見込みである。
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