ヘルパーなどの給与

日本のヘルパーの給与の低さが話題になっている。スウェーデンではどうか調べてみた。まずその前に、一般的な給与決定について述べる。
1.まず、労働市場における賃金は労使の交渉によって決定され、政府は関与しない。例えば、ヘルパーや准看護師は市に雇用されていることが多いが、所属組合である市職員労組とすべての地方自治体が加盟する地方自治体連盟とが交渉を行う。なおスウェーデンでは職種ごとに組合が異なり、市職員労組は主に高卒程度の現場職員を組織化している。ヘルパーや准看護師は市職員労組に加盟し、市職員労組は地方自治体などと労使協約を結ぶ(民間のヘルパーや准看護師も市職員労組に加盟していることが多い)。
2.スウェーデンでは同一労働同一賃金が原則で、同じ職種である限り、市の職員と民間では賃金などの労働条件が大きく異なることはありえない。

スクリーンショット 2014-05-10

上の表は統計庁の賃金統計からの抜粋である。対象はすべての分野のすべての職種で、公務員に関しては全数調査、民間職員に関しては標本調査である。職種分類は国際的な職業分類ISCO-88に基づき4桁による分類が使われている。なお月給とは基本給に時間外手当などを加えた給与である。
これによると平均の基本給は2万8600クローナで、時間外手当などを加えた給与の平均は2万9800クローナである。相対的に給与が高いのは医師で、5万5700クローナである。なお医師はいわゆる勤務医である(病院だけではなく、プライマリケアにおいてもその多くは勤務医である)。
高齢者ケアなどにおいては2つの職種が存在する。一つは准看護師と呼ばれる職種であるが、日本の准看護師とは異なる。どちらかと言うと一部医療行為が出来るヘルパーという概念に近く、准看護師はケア部門だけではなく医療分野でも働いている。そしてこの教育を受けていない職員はヘルパーと呼ばれる。また障がい者ケアにおけるパーソナルアシスタントもこのヘルパーのグループに含まれる。准看護師の基本給は2万2100クローナで、これは医師の基本給のおよそ40%、地区看護師の73%、すべての職種の平均基本給の77%に相当する。
抜粋した職種の中では准看護師などの基本給は一番低い部に属するが、一つ興味のあることがある。それは現場職員の時間外手当の大きさである。たとえばヘルパーは基本給2万700クローナであるが、時間外手当が付いて月給は2万3300クローナになる。保母(高卒)の基本給はほぼヘルパーと同じであるが、保母は時間外に勤務することはほとんどないので月給は2万900クローナにしかならない。平均的な時間外手当などは絶対額では医師が一番多いが、相対的にはヘルパーの給与に占める割合が一番高い(11%)。
最後に、日本とスウェーデンでは組合の形態などは異なるが、一つ興味のある数字を上げる。スウェーデンの市職員の平均給与は月2万5500クローナで、市の准看護師は2万4400クローナ、ヘルパーは2万2900クローナである。もちろん市の管理職はヘルパーよりもはるかに高い給与を得ているが、市は多くの現場職員を抱えているので、職員全体の平均の給与は相対的に低くなる。

2014年5月11日追加
興味のある表が見つかった。
スクリーンショット 2014-05-12

労使交渉について追加
労使交渉において市職員労組はヘルパーや准看護師の給与改善を求めることが多い。現場職員であるヘルパーや准看護師がストに参加することはほとんどないが、ヘルパーや准看護師が最大の職業グループである市労組のストの際には圧倒的な世論の支持がある。看護師のストも同様である。

ストの回避

看護師のスト

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