スウェーデンの社会保障費

日本では社会保障費が過去最大になったというニュースが紙面を賑わしている。このような名目での費用比較は統計上意味がなく、スウェーデンではこのような使い方はされない(国民負担と同じく、なぜ財務省がこのような使い方をするかは理解に苦しむ)。そもそも社会保障費というのは事後統計によってわかり、年度予算において各項目ごとの予算はあるが社会保障費という項目があるわけではない。もちろんそれぞれの項目ごとの給付の増大は予算審議などにおいて議論される。
他のブログに書いたことではあるが、社会保障費などは名目価格での時系比較は行われない、中期では物価変動を考量した実質価格での比較あるいはGDP比の比較が使われる。また失業保険給付費用や傷病給付費用などの社会問題である給付と年金のような社会問題でない給付を同じように扱うことは出来ない。

なお国際的にはOECDの社会保障給付統計が使われるが、EUにおいては類似のESSPROS統計が使われる。また社会保障制度は国ごとにその構造が異なるので、最近では純社会支出という概念が使われることが多くなっている。このため、日本政府が公表している社会保障統計は十分比較の問題を考慮して読む必要がある(過去の社会保障費に関しては国立社会保障・人口問題研究所が公表している)。
ESSPROS統計によれば、2012年のスウェーデンの社会保障費はGDP比で29.9%で、課税されて税金として戻る分が3.5%あるので、これを差し引くと26.4%になる。もちろんESSPROS統計に日本は含まれていないが、OECD統計でも同様の計算が行われている。表面的な社会保障費は話題になるが、このように制度の違いを考慮した純社会保障費はあまり話題になってないような気がする。
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